ファンタジー
今日トラ子さんが来たよ。一緒に遊んで、とても楽しかった。 お昼寝から目が覚めたボクは、ハイハイしてお部屋から出たの。するとリビングのドアが開いていて、玄関の方から声が聞こえたんだ。ボクがそっちに顔を向けると、ママと誰か知らない人がいて、ボク…
土曜の夜、ふと気づけば、窓の外にまんまるのお月様。よく見ようとベランダに出ると、まるで作り物のように夜空に浮かんでいた。こんな絵に描いたようような月を見るのは、ずいぶん久しい。たったそれだけのことが、なぜか嬉しく思える。人の喜びって、結局…
豪徳寺参道松並木 散歩途中に、カラスが5、6羽、松の木の根元あたりで虫をついばんでいるのが目に留まった。うっすらと緑色になっている地面に嘴をいれたり、杭になった木の内側を突っついたりしている。もっと小さな鳥たちの、そのような光景はしばしば目に…
"わたしが一番きれいだったとき 街々はがらがら崩れていって とんでもないところから 青空なんかが見えたりした ・・・・・ わたしが一番きれいだったとき わたしはとてもふしあわせ わたしはとてもとんちんかん わたしはめっぽうさびしかった だから決めた …
金曜日の朝、通りの反対側を歩いていた老人に目が止まったのは、手にしている花束のためだった。白い包装紙の中に、赤色が見えた。「バラ?」まさかと思って、すれ違いざまに確かめると、鶏頭であった。近づくと、赤に混じってオレンジ色もある。もしかして…
山吹の茂みから現れた老嬢からいきなりピノッキオと呼ばれた僕は、つい「そうだけど、僕に何かご用」と応えてしまった。4/7(http://teruhanomori.hatenablog.com/entry/2016/04/07/033053)すると・・・。「実は、あんたに頼みたい物が事があるのさ」と、オー…
カラスのお父さん(正確には未来のお父さん)は、今日も朝から小枝集めに精を出していた。(天気も良いし、今日のうちにいっぱい集めておくか)と、住処にしている場所から飛んできたのは、小学校だった。コンクリートの校舎の側には、大きな木が何本もあって、…
「あんた、ピノッキオかい?」と、ベンチに腰掛けている僕に向かって、山吹の茂みから不意に現れた、まるでオールドアリスみたいな老嬢が唐突に尋ねてきた。「エッ・・」と僕は、何が何だか分からぬまま言葉を詰まらせた。だって、僕の顔には、どこにもピノ…