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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

邪馬台国はどこであったかー絹織物に注目した説を初めて知ってなるほどと納得

邪馬台国はどこであったか、九州と近畿の他に、東遷説があることを、『古代史の窓』(森浩一著・新潮文庫・平成10年)を読んで初めて知った。東遷説とは、最初は九州にあったが、やがて近畿に移ってきたという説で、著者の森浩一さんはこの説を推している。 そ…

アレレ?岡本太郎さん、五重塔についてこんなこと言ってたんだーちょっと反論

手放す前にもう一度読もうかと、『美の世界旅行』(岡本太郎・新潮文庫)を旅先に持ってきた。それまであまり関心を持てなかった岡本太郎の世界に、グイグイ引き込まれる本だ。その世界観の中心を成している考え方、芸術や文化をどう捉えていたかが、本当によ…

藤布の着物を大切に着ていた140年前を想う

『イザベラ・バードの旅『日本奥地紀行』を読む』(宮本常一著・講談社学術文庫)を読み、明治時代、地方に住む人々は、たった一枚の着物を大事に着ていたということを知り、かなりの衝撃を受けた。 これは、イギリスの女性旅行家及び紀行作家であったイザベラ…

本音、辛口、毒舌の類は、当初その毒が小気味よく感じられるだけと気づいた

図書館で、面白そうな本はないかと書架を眺めていたら、あるタイトルに目をひかれた。著者は文芸評論家で、確か、米原万里さんが絶賛してたなと、手に取ってパラパラめくってみた。 内容は、ジャンル別の本の批評だが、切り口が新鮮に思え、座って読むことに…

風景でも建造物でも、知識で捉えては感動が薄れる

『宮大工と歩く奈良の古寺』(小川光夫著・文春新書・2010年)は、奈良を訪れるたび、手引きのように携えてゆく一冊だ。古い時代の建築について噛み砕いて教えてくれているのだが、木の話などは、人の生き方に通じるものがある。 宮大工の小川光夫さんは、高校…

ユーモラスな語り口に耳を傾けているうちに、〈なるほどね〉と納得する本

『望遠ニッポン見聞録』(ヤマザキマリ著・幻冬舎・2012年)を手にしたら、テーマごとのイラストが面白く、早速読んでみた。私は、ヤマザキマリさんのお書きになるものが好きだ。物の見方、考え方に共感することが多い。というよりもむしろ、(ああそうか)と気…

時には一枚の写真が語ってくれる言葉に耳を傾けてみる

春、シャガの花を目にするたび、"著莪(しゃが)は寂しき花なりき"という大木惇夫の詩の一節がセットのように浮かんでくる。若い頃、熊井明子さんのエッセイでこの詩を知ったのだが、確かに、シャガにはひっそりとした印象があって、群生していても地味な感じ…

方言っていいなと思うこの頃

先日、『秘密の花園』の朗読をラジオで聞き、ヨークシャー訛りが新鮮に感じられたと書いたが、そのすぐ後にタイミング良く、「方言まで訳すか、訛りまで訳すか」(『米原万里ベストエッセイⅠ』・角川文庫・2016年・P・24~34)を読み、改めて方言の持つ力に思…

物事を本当に理解するってどういうことか?考えさせられるエピソード

『米原万理ベストエッセイⅠ』(角川文庫・2016年)を読みながら、改めて、この方の鋭い洞察力やユーモアのセンスに、頷いたり笑ったりさせられた。中にはかつて読んだ話もあるが、ベストというだけあって、それまでのエッセイの中から選りすぐられたものなので…

『秘密の花園』を朗読で聞き、改めて本を読んでみた

正月の3日間は、ラジオ(NHK第二)も通常番組ではなく、そこでたまたま『秘密の花園』の朗読を聞いた。全4回ということなので、大晦日から始まったようだが、残念ながら1回目は聞き逃した。 私はこの本を、多分子ども向けのダイジェスト版で読んだのだと思うが…

ほのぼのとした絵本のような写真集『ブタとおっちゃん』

『ブタとおっちゃん』(山地としてる・(有)フォイル・2010)は、絵本みたいな写真集だ。昼寝するおっちゃんの横で、安心しきって眠る子豚。そこに漂うほのぼの感が、たまらなく良い。 子豚ばかりか、おっちゃんの側にいる動物は、皆安心しきって身体を伸ばして…

心に響く「藤原の桜」ー志村ふくみ『色を奏でる』より

志村ふくみさんの『色を奏でる』(ちくま文庫)は、ご自身が一枚の布として織りだされているかのような、とても味わい深い本だ。とりわけ印象深いのが、次の一章だ。 「藤原の桜」(P・116~122)は、大岡信さんの「言葉の力」という文章が教科書にのったことが…

『映画を食べる』ー池波正太郎

『映画を食べる』(池波正太郎著・河出文庫・2004年)を読んでいると、無性に映画が観たくなってくる。 『池波正太郎の銀座日記』も、映画と食の話が満載だが、こちらの方が、自分が実際に見た映画と多くが重なるので、面白味がグンと増す。更には、もう一度見…

自分は人とは違って個性的ーそれは大方の人が考えていることだ

モンサント(ポルトガル)へ向かう時たまたま道連れになったOさん。彼女の話を聞きながら、これまであちらこちらとよく一人旅してきたなと少々驚いた。 ツアー参加に個人旅と、年数回出かけているくらいだから、当然旅慣れているはずだが、やることがどうにも…

天才赤塚不二夫の背景ー『これでいいのだ』

『これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 』(赤塚不二夫著・文春文庫・2008年)を読んでいると、日本中が貧しい時代、子どもたちは子どもたちなりに、まことに子どもらしく逞しく生きていた様子が浮かび上がってくる。 籐七・リヨというご両親のキャラクターが、人…

価値観の違いは生き方の問題ーどちらが良いとか悪いとかではない

前回に引き続き、『周平独言』(藤沢周平・中公文庫)から引用させて頂く。 「書斎のことなど」の章に、"・・・私は所有する物は少なければ少ないほどいいと考えているのである。物をふやさず、むしろ少しづつ減らし、生きている痕跡をだんだんにけしながら、…

旅の魅力は心躍る風景に出会えること

"そこがどのような場所であれ、はじめての土地を通過するときほど心躍るものはない。"(『周平独言』藤沢周平・中公文庫・P・295) "何かを見に行く旅、つまり観光旅行は、見なければ損だという気持ちになる。眼を皿のようにして、あちこちと駈けまわる。・・…

『役に立たない日々』に力が湧いてくる

『役にたたない日々』(佐野洋子・朝日文庫)が面白い。私は、この方のズバズバした、露悪的とも思える物言いが好きだ。人から、少しでも上品に、知的に見られたいという意識など、僅かも感じられないところに潔さがある。 "パンがなかったので、コーヒー屋に…

四国うどん巡りへ本日出発

旅 1 美しい絵葉書に書くことがない私はいま ここにいる 冷たいコーヒーがおいしい苺のはいった菓子がおいしい町を流れる河の名は何だったろうあんなにゆるやかに ここにいま 私はいるほんとうにここにいるからここにいるような気がしないだけ 記憶の中でな…

"言葉の代わりに、見て気がついていくことでその虫の気持ちがわかる気がする"

"いきものとおしゃべりするには、観察するのがいちばんだ。子どものころ、ぼくは、虫と話がしたかった。おまえどこに行くの。何を探しているの。虫は答えないけれど、いっしょうけんめい歩いていって、その先の葉っぱを食べはじめた。そう、おまえ、これが食…

日々の暮らしに疲れを感じた時はこの詩をー「小さな娘が思ったこと」

カフェで、耳に飛び込んできたママさんたちの会話に、だいぶお疲れかなと感じることがある。もしくは、理不尽に子を叱りつける声にハッとしたりもする。そんな時不意に、茨木のり子の、「小さな娘が思ったこと」という詩が浮かんでくる。 (ひとの奥さんの肩…

リニューアルオープンした図書館が快適でつい足が向く

先月初め、自宅近くの図書館がリニューアルオープンした。広くなって閲覧席も増え、幼児向けには、絵本の読み聞かせができる独立したスペースもある。 開館時間も、火曜日から土曜日までは、午前9時から午後9時で、それ以外の日でも午後8時までと長く、仕事…

"追求していく気持ちの強さ、それこそが才能"ー『永遠のディーバ』より

『君たちに明日はない』のシリーズでは、この4がとてもいい。どの章もそれぞれに味わい深いのだが、タイトルにもなっている「永遠のディーバ」が特に良い。 このシリーズは全て、リストラを断行せざるを得なくなった企業で候補に上った従業員と、それを請け…

猿が人間からペットボトルを奪う?

アジャンター、エローラにハンピとインド遺跡巡りの旅から帰ってきた次男から、猿が、人間からペットボトルを奪ったという話を聞きびっくりしてしまった。 ハンピ遺跡には、猿が祀られているハマヌーン寺院があるのが関係しているのかどうか分からないが、い…

笑いながらいつしか思考の淵へ

『眼ある花々』は、若い頃その題名に、オヤッと気が惹かれ読んだ紀行文だ。ここには、作家が訪れた国内外の地で、心に残った花々がその時々の思いと共に綴られている。題名からの連想で、ハマナスの花が眼となって、じっとこちらを見つめているイメージが、…

ダイナミックさが感じられる本ー『国境のない生き方 私をつくった本と旅』

散歩のついでに図書館に寄って、『国境のない生き方 私をつくった本と旅』(ヤマザキマリ・小学館新書・2015年)を手に取ってパラパラめくっていたら、開高健とか島尾敏雄という文字が目に入った。 安部公房をはじめ影響を受けたという他の作家についての記述…

主義を貫く凄まじい生き方ー井伏鱒二氏のエピソード『晴れた空 曇った顔』より

『晴れた空 曇った顔』安岡章太郎著・幻戯書房・2003年)に、"追筆 1993年7月26日・・・「他人をはばかる情愛の深さ」"(P・52~56)という井伏鱒二さんについてお書きになった短い文章があるが、これもこちらの心に深く染み入る。 "井伏さんについて語る人は、…

ちょこっと旅にー原田直次郎展をメインに萩・津和野へ

"私は旅が好きではないらしい。・・・やっとの思いで目的の土地に到着しても得るところは、せいぜい景色くらいのものである。・・・私はこれほどの苦労をして得た代償だと思うから一生懸命眼を見張って、何か意味はないであろうか、我々の人生に益する参考に…

ちょっとしたところにユーモアが顔を出す

開高健の『来れり、去れり』に、夜更けに見知らぬ客が来るので玄関の鍵を開けておくよう妻に話す場面がある。 "、たちまちおびえて、ぼんやりとなってしまった。「暗躍する秘密結社やろか?」どうにも用語が古すぎる。大学へいって多系物理学と原子科学を専…

読んだという手応えを感じさせられる小説ー『輝ける闇』を再読して

このところ、自分が若い頃好きだった作家の本を読み返している。開高健の作品では、順番からゆくと『夏の闇』より前に『輝ける闇』なのだが、読んだ当初よく分からなかった作品を、先に読むことにした。結果としては、それでよかった。 これは、新聞社の特派…

小説家は作品に自分のすべてを注ぎこむと改めて感じさせられた本ー『夏の闇』

『夏の闇』を読み終えると、底知れぬ虚無感にくらくらしてきた。若い頃読んだ時は、正直よく分からなかった。でも今回読み直して、意図するところが朧げながらではあるが見えてきた。 柿の種とチャプスイが好物の女と、虚無感を抱え怠惰に身を沈める男が、汗…

チェーホフ先生の迷惑げな顔をいつでも心に留めておきたい

「井伏鱒二のふるさと」に出てくる、(『晴れた空 曇った顔』安岡章太郎著・幻戯書房・2003年)ソ連を旅行したとき、トルストイ、ドストエフスキー、チェーホフなどの住居跡や別荘を見学して回る話がなかなか興味深い。(但し、50年以上も前のことだ。) 国家に…

胃袋の中でウナギがニョロニョロ暴れだす心持って?

「晴れた空 曇った顔 リヨンという街」(『晴れた空 曇った顔』安岡章太郎著・幻戯書房・2003年)は、ずっと昔、別の本に収録されているのを読んだことがある。料理とワインというと、決まってこの場面が思い出される。 リヨンに着いたばかりの著者は、空腹感…

『高倉健インタヴューズ』は時々開きたくなる本だ

私は、高倉健さんの、眼差しの温かさがジュワッとこちらの心に染み込んでくるような文章が好きだ。『旅の途中で』や『あなたに褒められたくて』を読み返すたびに、新たにジュワッという思いが広がる。 ところで、ご本人のエッセイとは別に、以前にも参照させ…

やはり人は見た目で判断するしかないかな?

"もし「洗剤意識」なんてのがあったら、「今日も汚い靴下と一緒にされてやだなあ」とか思うのかも" 『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』(村上春樹著・マガジンハウス・2012年)は、珍しくほとんど風も無く、唯一、今週の村上(P・201)が、頬を撫でていったく…

「スガシカオ」を「透かし顔」と勘違いしたマヌケな話

「スガシカオの柔らかなカオス」(『意味がなければスイングはない』・村上春樹著・文藝春秋・2005年・P・193~216)を読んで思い出したことがある。といっても、文章とは何の関係もない末節もいいところだ。 日本のJポップを日常的にあまり聴かない著書が、ス…

この時代に新聞は読むほどの価値があるのだろうか?

先週月曜日のラジオ番組で、ジャーナリストの青木理さんが、東京新聞を除いた各社が、一面からオリンピック報道一色ということに疑問を呈していた。ドイツ在住のジャーナリスト熊谷徹さんも同様のことをツイッターに投稿しておられた。 趣旨は違うが、それが…

ストーリーとは別に警句にちょっと足を止めてしまう『ロング・グッドバイ』

ちょっと分厚いなと借りるのを躊躇したが、『ロング・グッドバイ』(レイモンド・チャンドラー著・村上春樹訳・早川書房・2007年)は、読み始めから警句に満ちて、私には哲学的な本への入り口とも思えた。面白くて読み急ぎたいのに、アレッこの言葉と、つい立…

偶然が重なる不思議ー『トゥルー・ストーリーズ』はちょっといい話的で面白い

"「事実」の不思議を扱ったエッセイが核になっている"(P・265)『トゥルー・ストーリーズ』(ポール・オースター著・柴田元幸訳・新潮社・2004年)は凄く面白い。 訳者あとがきで柴田元幸さんが端的にお書きになっているが、"金銭が(というかその欠如が)人の生…

『ノルウェイの森』の背景となった時代を懐かしく振り返る

非常に遅ればせながら『ノルウェイの森』(村上春樹・講談社文庫・2004年)を読みはじめて、何だこの軽やかさはと、次いで面白いじゃないかと驚いた。 繰り返される性に関わる描写は、単なる記号だが煩すぎてやや辟易するし、登場人物にも共感し難い部分が多い…

「君の能力と才能を絞りきってものを書け」にドキリー書く以外にも通じる言葉

"君の能力と才能を絞りきってものを書け。そして弁明したり、自己正当化するのはよせ。不満を言うな、言い訳をするな"(『ファイアズ(炎)』レイモンド・カーヴァー著・村上春樹訳・村上春樹翻訳ライブラリー・2007年・「書くことについて」P・44) レイモンド…

曲に導かれて物語の世界をふたたび楽しむ

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹・文藝春秋・2013年)では、音楽もキーポイントだ。曲に導かれるようにして、読み手もいつの間にかその世界に入り込んでしまう。気づけば、そこは既に映画のワンシーン。灰田文紹(フミアキ)が持ってき…

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は自分なりの解釈が広がる本だ

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹・文藝春秋・2013年)は、とてもよくできた物語だ。プロに対して失礼じゃないかとお叱りを受けそうだが、やはり、上手いなあとしか言葉が見つからない。 夏休みの社会科の課題である奉仕活動をきっかけ…

ルクミって?それはギリシャのお菓子ー『雨天炎天』には凄いルクミあり

パリ在住の梨の木さんという方のブログに、ギリシャ土産に頂いた「ルクミloukoumi」というかなり甘いお菓子の事が書いってあった。そのちょっと前に、そのお菓子について本で知ったばかりの私は、おおここにもルクミかとそのタイミングに喜ぶ。 ブログでは、…

考える手掛かりを与えてくれる本ー『やがて哀しき外国語』

『やがて哀しき外国語』(村上春樹・講談社文庫・1997年)は、発売された当初、ウンウンと大きく頷きながら読んだはずなのに、内容はすっかり忘れていた。そんな自分にガッカリしたけれど、改めて読んでも(というのもおこがましいが)、考え方の芯にあるものに…

心にズシンとくる映画ー『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』は、中心にあるテーマ故に、心にズシンとくる映画だ。監督へのインタビューを読むと、ホロコーストの映画ではないということだが、かなり重要なポイントとなっている。「受け継ぐ者たちへ」というタイトルに、それが表れてい…

「英語で読む村上春樹」というラジオ番組は面白い

「英語で読む村上春樹」という番組(NHK第2・土曜日・再放送12時~)があって、時間が合えば聞く事がある。 英訳に続いて日本語の朗読があって、訳文ではなぜその単語が選ばれたのかが解説される。といっても、訳者本人ではないので推測もしくは考察だ。言葉の…

ジグソーパズルのような面白さー『未亡人の一年』

『未亡人の一年』[上]・[下](ジョン・アーヴィング著・都甲幸治・中川千帆訳・新潮社・2000年)は、とても読後感の良い本だ。『村上ラヂオ』に、この本の一つのテーマが寂寥感とあったので、その意味するところに興味が湧いて借りてきた。上下巻の2冊を…

何事も「ちょうどいい」精神がちょうどいいー『村上ラヂオ2』

"僕はもうなかなかの歳だけど、自分のことを「おじさん」とは決して呼ばない。"で始まる「ちょうどいい」(『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』村上春樹・マガジンハウス・2011年・P・110)もいい。 "「私はもうおじさんだから」と口にした時点…

おまけのような「今週の村上」が可笑しいー『村上ラヂオ2』

『おおきなかぶ 、むずかしいアボガド 村上ラヂオ2』村上春樹 文・大橋歩 絵・マガジンハウス・2011年)は、美味しいお豆腐のような本だ。あっさりのつもりで口に入れると、その味わい深さに驚く。 分厚く、細かな字がびっしりの本に疲れた後で、このような文…