照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

絵画

やっぱりブリューゲルの絵はいいな『ブリューゲル探訪 民衆文化のエネルギー』

ブリューゲルかと書架から取り出した本(『ブリューゲル探訪 民衆文化のエネルギー』森洋子著・未來社・2008年)の表紙を見て驚いた。 本の表紙 (『農民の婚礼』部分) 中央には、ほんのり頬を染めた花嫁が幸せそうな笑みを浮かべて座っているではないか。あの…

ミケランジェロの《最後の審判》に手が加えられていたなんてビックリ!

この5月に、バルセロナのカテドラルとエヴォラの博物館で「受胎告知」を見た時、驚きを顕わにする(ように見えた)マリアの表情に、どちらもずいぶん似た雰囲気だなと思った。これまでも各地の教会や美術館を訪れるたび、「受胎告知」でマリアがどのように描か…

ヨルダン土産のデーツはちょうど干し柿のような味〜美味しい

デーツ(ナツメヤシ) 箱と共に デーツ ヨルダン土産のデーツ(乾燥ナツメヤシ)、私は初めて食べたのだがとっても美味しい。この味には覚えがあるが、はて何だったかなと2つ目を口に入れているうちに、そうだ干し柿だと思い出した。ねっとりとした濃い甘さだけ…

ワシこれでもライオンなんですわ〜エヴォラ美術館(ポルトガル)で

エヴォラでは特に観光予定もなかったのだが、思いついてエヴォラ美術館へ行ってみた。宗教絵画などよりは、ローマ時代の遺物を含む古い時代の彫刻などの方が見ていて楽しい。それも、作品価値が高そうな立派な物よりは、ユーモラスな物に目がいく。 ワシ こ…

マドリッドは見どころがいっぱいーでも美術館の閉館時間にはご用心!

マドリッドには、美術館がとても多い。しかも、時間帯や曜日によって無料にしている所も結構あるので、それらを上手く利用するのもいい。但し、閉館時間に気をつけなければとんだ失敗をする。 私は、マドリッド3日目の日曜日、閉館時間が午後3時と早い王立…

こんな愉快な絵からワラジ?までー国立考古学博物館(マドリッド)

石に描かれた絵 見ているだけでこちらも笑顔になる 国立考古学博物館にはこんな楽しい絵があった。アルタミラ洞窟のリアルな牛の絵に比べ、これは何とも素朴で子どもが描いた絵みたいだ。わざわざ石に彫っているところから察すると、ただの落書きとも思えな…

ブリューゲル(父)の絵を見にデスカルサス・レアレス修道院へ〜マドリッド

初日にプラド美術館とソフィア王妃芸術センターに行ってしまったので、もうマドリッド観光は終了かなと思いつつガイドブックを開いたところ、気になる美術館が幾つかあるではないか。日帰りでトレドやセゴビアに行っている場合ではないと、回る順番を検討し…

旅先では自分の関心あることだけに絞る〜行って良かったプラド美術館

オステルにチェックインした後、すぐさまプラド美術館に行った。もし、チケット購入に時間がかかるようだったら、いっそ午後6時からの無料で入館でき列に並んでも良いかと考えたが、何のことはない。3時前に着き、15分ほど並んだだけで済んだ。 マドリッドに…

ピラール聖母教会は天井画も素晴らしい〜その一部はあのゴヤ作という

ローマ時代に作られたピエドラ橋から見たピラール聖母教会 ピラール聖母教会 サラゴサのピラール聖母教会は外観も見事だけれど、内部の天井画がとても素晴らしい。システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)のミケランジェロばかりがもてはやされているけど、いやあ、…

ゴンドラに乗ってバルセロナ市内を一望〜モンジュイックの丘

ホテル最寄りの駅パセジ・ダ・グラシアから地下鉄11号線で5つ目のパラ・レル駅まで行き、フニクラついでゴンドラに乗ってモンジュイック城まで行ってみた。モンジュイックの丘は、標高173mということだが、ゴンドラに乗っていると、バルセロナ市内が見渡せ…

四天王に踏まれる邪気を見にゆくー東大寺・転害門から戒壇堂へ

転害門(東大寺)を目指して歩いてゆくと、通り沿いの建物もなかなか趣がある。門の前に置かれた案内板によると、この通りはかつて京街道と呼ばれ、江戸時代には宿場があったそうだ。私は、転害門を見るのも、この辺りまで来るのも、今回が初めてのため、その…

時には一枚の写真が語ってくれる言葉に耳を傾けてみる

春、シャガの花を目にするたび、"著莪(しゃが)は寂しき花なりき"という大木惇夫の詩の一節がセットのように浮かんでくる。若い頃、熊井明子さんのエッセイでこの詩を知ったのだが、確かに、シャガにはひっそりとした印象があって、群生していても地味な感じ…

クロマニョン人にビックリのラスコー展ー上野国立科学博物館

上野の森美術館の後で寄ったラスコー展も、なかなか素晴らしかった。保存のため今は公開されていない洞窟内の壁画を、そっくり再現した絵はもちろん見事だが、2万年前に既に絵を描くことを専門としている人たちがいることが驚きであった。 実際これを目にす…

セザンヌの妻オルタンスに会いに上野の森美術館へ

『画家の夫人』 (ポール・セザンヌ) 山手線の車内から偶然目にした、セザンヌの妻オルタンスの絵。デトロイト美術館展の案内であった。ぜひ行きたいと思いつつも、結局、ポルトガルの旅から帰るのを待たねばならなかった。 写真撮影が許可される火曜日を選ん…

猿が人間からペットボトルを奪う?

アジャンター、エローラにハンピとインド遺跡巡りの旅から帰ってきた次男から、猿が、人間からペットボトルを奪ったという話を聞きびっくりしてしまった。 ハンピ遺跡には、猿が祀られているハマヌーン寺院があるのが関係しているのかどうか分からないが、い…

東萩から時々日本海を眺めながらローカル線で益田へーいざ原田直次郎展なり

二日目は、東萩から益田まで約1時間15分ローカル線の旅だ。時々現れる日本海に慌ててスマホを取り出すも、なかなかタイミングが難しい。 益田駅から徒歩15分弱でグラントワ(島根県芸術文化センター)に到着、原田直次郎展へ。ちょっと思惑が外れたのは、『騎…

カラヴァッジョ好きはぜひこの一冊をー『カラヴァッジョへの旅』

私がカラヴァッジョを意識するようになったのは、2001年に東京都庭園美術館で開かれた展覧会からだ。それまで、若桑みどりさん好きの友人を通してカラヴァッジョという名を聞いてはいたが、どんな絵だろうと思うくらいで、積極的な関心はなかった。それが、…

団子の串刺し描法って?

"団子の串刺し描法"?ユニークな表現に、セザンヌの〈聖アントワーヌの誘惑〉を見返しながら、うまいことを言うと可笑しくなる。確かに、そこに登場する女性たちは、お団子をくっつけたようにも、コルネと呼ばれるパンのようにも見える。 また、セザンヌの〈…

こんなチャンス逃しては痛恨の極みだー「ほほえみの御仏ー二つの半跏思惟像」

展覧会パンフレットより 「ほほえみの御仏ー二つの半跏思惟像ー」は、本当に素晴らしく、私の展覧会ベストワンだ。今は6月でまだ半年あるが、文句無しのぶっちぎりだ。 中宮寺の半跏思惟像 パンフレットより 絵葉書より(中宮寺で購入) 絵葉書より(中宮寺で購…

お勧めの高島野十郎展ー目黒区美術館

雪晴れ(絵葉書より)積る(絵葉書より)サクランボ (チケットより)目黒区美術館で開催されている高島野十郎展へ行ってきた。だいぶ前になるが、日曜美術館という番組でこの画家を知り、その直後にここへきたことがあったがそれ以来でずいぶん久しぶりだ。今年は…

田中一村の『アダンの木』に魅せられて

奄美の杜8ービロウとブーゲンビレア(複製画部分)奄美の杜8ービロウとブーゲンビレア(複製画全体)会社を辞める時、知り合いから頂いた物の一つが、田中一村の複製画だ。切手となった下の部分よりも、むしろ上の方が好きだ。半分だけ写真に収めてから、勝手に…

さまざまな観点から絵を見るとグンと興味が増す

『複眼のヨーロッパ美術紀行』(鈴木久雄・新潮社・2008年・6月)は、時代背景や画家個人に関しての丁寧な記述に、こちらも、絵をまさにその"複眼"を通して見せてもらっているような気がしてくる。それはあたかも西洋美術史の講義を受けているようで、1章から…

自分で描いてみると絵の見方が変わる

Teruha美術大学の実技と称して毎日スケッチブックを広げていると、自分はこれまで、どれほど物を観ていなかったがよくわかる。描くってまず、徹底的に観察することから始まる。形をだいたいの感覚で掴んでいるだけでは、それを紙の上に再現するのは大変だ。…

若冲は楽しい

若冲展 (チケットより)昨日4月22日、上野の東京都美術館で始まった「若冲展」へ行ってきた。開館時刻に合わせ9時半頃着いたのだが、物凄い人で驚いた。予想を上回る行列に怯むが、この先、日を追ってますます混むだろうと思い、並んで待つことにする。入って…

絵はわかるわからないではなく引き込まれるかどうかだ

絵を見ることを、どこか高尚なことのように思っている人がいるけれど、そんなことはまったくない。また、絵がわかるって、知識のあるなしには関係ないと思う。"絵の物識りになることが、絵がわかるということではない"と洲之内徹は言う(洲之内徹・『おいてけ…

偶然が重なった日

自分大学を開講した4月8日は、花まつりつまり御釈迦様の生誕の日と重なった。美術大学の抽選にもれたお知らせハガキが来たので、ではこの日からと、軽いノリでたまたま決めただけだ。だがこの日は、どうも私にとって、記念すべき日ではないかと思えてきた。…

自分大学ーTeruha美術大学始めちゃいました

区立美術館主催の美術大学は、抽選で外れてしまった。まさに、(美術大学落ちたの私だ。だったら自分で始めちゃおう)というわけで、Teruha美術大学開講して1週間が経過した。勉強というのは、どこで学ぶにせよ基本は独学だと思っているが、あえて美術大学と名…

カラヴァッジョ展へはお早めに

3/8日の火曜日、朝一番で上野国立西洋美術館の「カラヴァッジョ展」へ行ってきた。9時30分開館だが、5分前に着くと既に50人ほどが並んでおり、次から次へと人が来る。だが中に入れば混雑からは程遠く、気に入った絵の前では、存分に鑑賞することができた。「…

奈良・興福寺へ阿修羅像に会いに行く

興福寺 南円堂興福寺 五重塔奈良では先ず、興福寺・国宝館へ阿修羅像に会いに行く。憂いを含んだ優しい顔、すらりと伸びた華奢な手足、闘いの神というが、その表情からはむしろ祈りを感じる。見てきたばかりの、三十三間堂の阿修羅像ともだいぶ異なる。この…

長谷川等伯の障壁画ー京都・智積院

休みの日、京都の智積院へ行ってきた。真言宗智山派の総本山であるこのお寺については、熱心な真言宗の信徒である母からたびたび聞いていたものの、その頃は、正直まったく関心がなかった。しかし母が亡くなってから、長谷川等伯の障壁画への興味も手伝って…