照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ブリュッセル (ベルギー) ホテル アミーゴ〜『ジャッカルの日』を読んで

ジャッカルの日』(フレデリック・フォーサイス著)を、繰り返し繰り返し読んだ。エドワード・フォックス主演の映画を偶然テレビで見て以来、ジャッカルのスマートさにすっかり魅了されてしまった。

 

活字の虫かと思うほど、印刷されている物は何でも読んだが、SFとアクションの分野には縁がなかった。映画も然り、公開時には、興味のかけらさえなく、まさに食わず嫌いであった。ところがいつしか、原書を手にするほどに思い入れていた。とはいえ、私の貧弱な語学力ではなかなか読み進めず、翻訳書と交互にページを捲った。

 

過去を思わせるほんの数行の記述、(南仏のポスターに見入る箇所)が、心に焼き付いている。贅沢に暮らすジャッカルも、銀の匙をくわえての誕生ではなかった。そんな、憧れ続けた世界に相応しい自分を作り上げていったジャッカルに、とても魅力を感じ、このすべてが謎の人物に想像は広がるばかりであった。

 

そして、いつかブリュッセルにいく日があったら、ホテルアミーゴに泊まりたいと思い続けていた。ジャッカルが宿泊したホテルだ。それを叶えるため、その年は、アムステルダムからブリュッセル経由でパリへという旅程にした。

 

しかし、いざアミーゴに泊まったはいいものの、朝一番に、気取って出向いた食堂で食事するのは私一人だ。「何かご用はありませんか」、とばかりに立ち並ぶスタッフの多さにかなり緊張する。

 

食後のコーヒーを頂く頃には、テーブルに着く人も増えてきてようやく寛げた。白いクロスに目をやりながら、マダムへの道はまだまだ遠いなと心の中で呟く。ジャッカルなら、どのような場面でも、難なくスマートさを発揮するだろうな。