照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ベルギー王立美術館にて〜心に残る一枚は自分の感覚を頼りに

前年の2006年、ベルギー王立美術館展が開催された時は、上野まで出向かなかった。東京にはこれほどの絵画好きがいたのかと思う程、美術館はいつでもどこでも人で溢れかえっている。現地へ行こうと思ったのが、今回ブリュッセルへ立ち寄るきっかけでもあった。

ブリューゲル(Pieter Bruegel the Elder)の『ベツレヘムの戸籍調査』を見逃さないようにとのガイドブックの指示に従って、先ずはその前に立つ。細部まで丁寧に見はじめたが、百姓ブリューゲルと称されるように、農民や民衆を描いた絵の方が、私にはしっくりくると思っていた。

研究者ではなく、ただの美術好きの私には、全体から受ける印象が重要だ。「絵を解説してもらいながら見られるといいのに」と、やはり絵画に深い関心がある友人が言った時も、私は、自分の感覚を大事にしたいと思った。

まず気にいる事、その後で詳しく調べればいいと今でも思っている。見方は自由だ。私の場合は、先立つ知識や有名度で絵を測りたくない。心に残る一枚に出会えればいいと思う。

そのような事を思いながら回っていると、ある絵の前で、はっとするほど魅力的な方がいた。モスグリーンに黒、凝ったデザインの服ですらりとした身を包んだその方は、年齢やシミもシワも超越していた。細部は吹っ飛び、存在だけが際立っていた。

自分もあのようになりたいと心密かに決めて、私の一枚を胸に美術館を後にした。