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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

リキとノラ 旅と絵はちょっとお休み

ある日の朝、駅へ向かう途中で、散歩中の犬に擦り寄ってゆく猫を見た。
2度3度、犬の側を身体が触れるか触れないかくらいに気取って歩く。
犬も、気にはなるが戸惑っているようだ。それが猫からへ犬への挨拶であった。

その翌日、  と遊ぶ猫を見た。
やがて歩き始めた犬に、猫は少し物足らないようだ。まだ若くて好奇心旺盛な犬も、遊びたくてうずうずしている。

猫は道端にごろんと横になる。お腹をだして、あっちへごろり、こっちへごろりと気を引く。娘さんが電車に乗り遅れるからと先を促す飼い主さんに、お座りして抵抗する犬だが、あっけなくあきらめる。猫もあきらめる。

その数日後、駅からの帰り道らしく、犬が飼い主さんと歩いている。
猫が現れて、慌てて犬を追ってゆく。
遊んでもらうのは無理と解ったのか、途中で引き返す。私も、駅へ向かう足を止めて猫と犬をみる。

「ノラなんですよ」と、犬の飼い主さんが突然教えてくれた。
「散歩しているとどこからともなく現れて、ついてくるんですよ」
「そうですか」と私の近くでやり取りを聞いていた様子の猫を見やる。
驚いたことに、後ろの壁に寄りかかったまま私の方を見て、「てへへへ」と照れたような顔で、後ろ足を頭のところまで持ってきたのだ。
人間が頭を掻く仕草にそっくりである。

「ワンちゃんのお名前は」と尋ねてから、初めてリキ君に挨拶する。
側にいたノラ君には、挨拶し忘れた。

またその数日後、私はいつもより遅れ気味に駅へ向かっていた。するとあのノラ君が、リキ君の家の前にいるではないか。

「おはようございます、。あの猫ですか」と、外で鉢植えに水遣りしていた飼い主さんに、声をかけてみた。
「そうなんですよ。今日は寝坊したらしく、先回りして家の前にきていたんです」と、教えてくれる。
「リキも外では遊ぶんですが、自分の家だとちょっとえばって遊ばないんです。たまに、煮干をあげたりするんですよ」

私たちの話に耳を傾けていたノラ君は、先日の一匹狼ならぬ猫の顔はどこへやら、ニャアーン、ニャアーンと甘えた声をだす。
顔もすっかり飼い猫然としているからおかしい。(オレのこと話しているのわかってるぜ。それはいいから煮干が欲しいな)

リキ君とノラ君に会った日は、心が弾んでくる。楽しいワンニャん。私もお友達になれるかな。
ノラ君は、多分飼われていたのだろう。ずいぶん毛並みがいい。
もしかすると、まだどこかの飼い猫なのかもしれない。

今朝はリキ君の家の前に、艶々した毛並みの黒猫がいた。友達の輪が広がるのかな。朝の楽しみが増えた。