照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

Nちゃんとのつかの間の旅 2014/9月

伊丹空港から羽田へ向かう便。席に座ると、ひとつ置いた右隣でシクシク泣いている女の子に気づいた。それがNちゃんだった。

キャビンアテンドさんによると、カナダまでの一人旅との事である。おばあちゃんとの別れが悲しくて、泣いているという。隣が空席なのを確かめて、横へ座ってもらった。小柄なNちゃんは、意外にも7歳とのことである。

CAさんから貸してもらった動物の絵本を読んであげると、質問が鋭い。考え考え答えを絞りだす。そのうち、「ガンはどうしてなる」と難しい事を聞いてくる。Nちゃんが1歳の時パパがガンで亡くなったとのことである。

「お酒を飲むとなる」と聞くので、真意を図りかねて、「どうして」と尋ねると、「おっちゃん毎日飲んでいたよ」と言う。おじさんまでガンになったらと、心配しての質問と解る。

頭フル回転で答えるも、なかなか納得しない。Nちゃんの心に恐怖を残さないためには、どのように説明をしたらよいのだろう。幼い人と向き合う時、自分のすべてが問われるような思いになる。


「次乗る飛行機に、親切な人おる」と聞いてくる。やはり、心細さで一杯なのだ。「日本の人おる」と重ねる。英語も話せるけど、日本語の方が得意だからと言う。
「大丈夫。日本人のキャビンアテンドさんも、旅行者もいると思うよ」と答えると、安心したように笑う。

「おばちゃんカナダへ来る、いつ来る」と問われて、このままカナダまで付き添って行きたい気分になるが、羽田到着は間もなくであった。乗り換え口まで見送りたいと思ったが、私との別れに少しベソかき気味のNちゃんに配慮して、後はCAさんにお任せして外へ出た。

つかの間の出会いと別れは切なく、Nちゃんが無事トロントへ着くことを祈りながら家へ向かった。

Nちゃんも羽田へ着く頃には笑顔で、「泣いてばかりもおられない。カナダへ帰ったら、お友達と遊んだり、勉強したりやることたくさんあるから」と言っていた。幼いながら、精一杯自分を鼓舞していたのだ。

Nちゃんガンバレ!翌朝にはママに会えるよ。クリスマス休暇には、またおばあちゃんにも会えるよ。Nちゃんがくれたアメをポケットにしまいながら、Nちゃんの心に祈る。