照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

染色家古澤万千子さんの作品に会えるとは〜ビクトリア&アルバート博物館にて

染色家古澤万千子さんの作品を、ビクトリア&アルバート博物館で見つけたときには、学芸員の目の確かさに敬服した。白州正子さんの本を通して初めてその作品を目にした時、素朴感漂う、落ち着いた、味わい深い色合いに魅せられた。

漠然と、いつか実物を見てみたいと思っていたが特に探すこともしなかった。それがロンドンで出会えるとは。人でも物でも、出会いには丁度良い時期と場所があるに違いないと思った。タイミングを外せば、心への響き方も異なってくるような気がする。

それはターナー(Joseph Mallord William Turner)の絵にも、同様の事が言える。ロンドンを訪ねる度テートギャラリー(現在はテイトブリテン)を訪れていたが、ターナーの部屋へは足を踏み入れたことがなかった。ターナーに限らず、風景画全般が苦手であった。

それが、今回ビクトリア&アルバート博物館で出会ったターナーは、私の心を捉えた。これまでの分を取り戻すかのように、じっくりと味わった。滞在したホテルから近いということもあり、二度三度と通った。不思議と、他の美術館へターナー作品を見に行こうとは考えなかった。

今回ロンドンで滞在したのは、サウスケンジントン駅近くのギャラリー(The Gallery)だ。地の利が良く、どこにでも歩いていった。好きな場所だ。

ロンドンを訪ねた二年後、日本で公開された『クレアモントホテル』は、私のお気に入りのひとつだ。原作を読みながら、サウスケンジントン周辺を、公園のライラックを懐かしく思い出していた。架空のホテルではあるが、ミセス・パルフリーの足跡を追っていた。