照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ドレスデン〜かつて宮殿だった豪華ホテルでバニラビーンズの香りに包まれて

ドレスデンへ行こうと決めたのは、まったくの思いつきであった。6月下旬なら休暇が取れそうと判った時、東京で開催された「ドレスデン美術館展」の素晴らしさが、ふと蘇ってきた。

 

2009年の旅は、ベルリンから始まった。滞在したホテルを早めに出て、急行で二時間の距離にあるドレスデンに向かった。

 

ドレスデン駅からは、タッシェンベルグバレー ケンピンスキー まで歩いた。宮殿を再建したこのホテルは重厚で、美術館にいるような気分であった。

 

荷物を置くとすぐ、目の前にあるツヴィンガー宮殿内の絵画館へ向かった。ルネサンスからバロックフェルメールなどの作品を堪能。高揚した頭と、疲れた足を休めるため、宮殿前のカフェでビールを飲む。

 

次は、ツヴィンガー宮殿内の陶磁器コレクションを見に行く。アウグスト強王親子が収集した陶磁器の数の多さに圧倒されながら、その権力と富を想像する。

 

地震などあったらひとたまりもないと、高い所までびっしりと、無造作に置かれた陶磁器に、余計な心配が顔を出す。日本とは違うのだ。予期しないところに思いがけない収穫があると、感心しながら見て回った。

 

外へでると雨が降っていた。ホテルが目の前とはいえ、暫く様子見で立っていた。宮殿の側にあるゼンパー・オーパー(州立歌劇場)では公演があるのか、衣装を付けた人達が、雨宿りの観光客にチケットを勧めて歩いていた。大いに気を引かれたが、翌日のプラハ行きを考えて止めておいた。

 

滞在した部屋は、天井が高く広かった。ベッドに寝転んで喜んだのもつかの間、五つもある窓は、カーテンを閉めて歩くのが大変であった。日頃、起きて半畳寝て一畳の世界を良しとしている身には、無駄に広かった。

 

シャワーとバスタブがそれぞれに独立しており、間には洗面台がある。皿に置かれたバニラビーンズが、良い香りを放っている。時々、ベッドから抜け出ては、その香りにうっとりとした。

 

旅の二日目は、不釣合いに豪華な部屋で、客だかメイドだか、判らない雰囲気の中で過ぎていった。