照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ベルリンの壁からベルクギュルン美術館へと回りながらさまざまな思いに耽る

ベルリンは街歩きするには広すぎる。
 
飛び石二泊という変則プランのため、時間的余裕は少ない。美術館に観光名所もと張り切ると、詰め込んで走り回らざるを得ない。考えた末、ベルリンの壁を見納めとすることに決めた。
 
ブランデンブルク門を訪れた前日は晴れて汗ばむほどであったのに、この日は肌寒だった。この壁を、どれほどの人が越えたいと願い続けただろう。各国の芸術家によって壁に描かれた絵を見ながら、暗い時代を思った。
 
小雨まじりの曇り空が、感傷の後押しをする。『善き人のためのソナタ』の、ラストシーンが思い出された。旧東ドイツ・シュタージのを役人を主人公にしたこの映画は、私の心に残る作品だ。
 
高架を走る電車に乗って市内を眺めているうちに、晴れてきた。陽の光に、気分も切り替わるから不思議だ。ジャコメッテイ(Alberto Giacometti)の彫刻を見たいと、ベルクグリュン美術館を訪れた。
 
ベケット(Samuel Beckett)作『ゴドーを待ちながら』の舞台美術で使用した作品を、新聞で見て以来ジャコメッティが気になっていた。
 
ピカソ(Pablo Picasso)の収蔵作品が主の美術館だが、青の時代以外ピカソに関心がなかった。それが、たくさんのピカソ作品を見ているうちに、さまざまな角度から切り取られたような女性の顔を、美しいと思えるようになってきていた。殊に、ドラ・マールという女性が気になる。
 
かつて友人が、(あっち向いたり、こっち向いたり)と表現した絵に感嘆する日がくるとは、自分でも驚きだ。この人は描くことが、心底好きなのだとも思った。思わぬところの伏兵が、私をピカソに引きずり込む。出会いは不思議だ。
 
テーゲル空港へ向かうバスの中からも、名残惜しく街の様子を眺めた。色もさまざまな大きなクマの彫刻が、あちこちで目に付く。後で調べると、クマはベルリンのシンボルということだ。
ベルリンさようなら