照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

トリニティカレッジでケルズの書の素晴らしさに感激〜ダブリン アイルランド

トリニティカレッジの図書館に、聖書の手写本である「ケルズの書」を見に行く。あちこちより道をしながら開館時間少し前に到着すると、すでにたくさんの人がいて驚く。薄暗くひんやりした展示室に足を踏み入れると、その列で待っていた人の気持ちがよく解る。
 
8世紀に製作されたというケルト文様の装飾本は見事で、ため息がでる。場所を独占しないよう気を使いながら、ガラスケースの中に目を凝らす。これほど丁寧に美しく仕上げるためには、どれほどの集中力と時間を要したのだろうと、はるか昔の人の仕事ぶりに感嘆する。
 
せっかく来たのだからと、ロングルームと呼ばれる書庫への階段を上がる。古い本が天井までぎっしりとつまったさまは圧巻だ。書架の間を歩きながら、古びた雰囲気の部屋に歴史を感じる。大学構内をぶらぶらしながら、オコンネル橋の方へ向かう。
 
リフィ川沿いを歩いてから橋を渡る。人出もある。ぶらぶら歩きにも疲れたので、ホットチョコレートで一息つく。ダブリン市内はこじんまりとしているため、どこへでも歩いてゆける。次は、聖パトリック大聖堂に行くことにしてグラフトン通りを歩いていると、昨日のバイオリン弾きを見かけた。人通りの少ない場所で、静かに演奏している。つい会釈すると、つられたように向こうも頭をさげる。知り合いができたような気分だ。
 
ダブリンは人が優しい。道を確かめたいと思った時、女性が前方からやってきた。堅い雰囲気に躊躇したが、思い切って声をかけてみる。その途端、よくぞ私に聞いてくれましたとばかりに、こぼれるような笑みを浮かべたのには驚いた。
 
昨日の朝も、勤めに急ぐ人の足を止めさせては悪いと、スーツ姿の女性が通り過ぎるのを待ってから地図を広げた。すると、5.6歩行ってから私の方へ戻ってきて、道に迷ったのかと尋ねてくれたのだ。偶然が重なっただけかもしれないが、このような小さなことが街の印象を良くする。私も、すっかりダブリンが好きになってしまった。