照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

丼の中で溺れそうになっている鮭にこれが照り焼きかとビックリ!〜ダブリンで

午後の便でダブリンを発つと思うと名残り惜しく、メリオンスクエアからオコンネル通り、ヒューストン駅界隈までと歩き回った。
 
リフィ川近くのフードコートのような場所で、開店準備中の店を覗き、ワゴンに置かれたさまざまな料理に興味が湧いてくる。先日、SUSHIやTERIYAKIの看板につられ、つい入ってしまった店を思い出しながら、もっとよく見て回れば良かったと後悔する。ダブリンでも鮨は人気なのか、持ち帰り専門のチェーン店も見かけたし、どのスーパーでも売られていた。
 
ダブリン到着2日目、夕食を摂ろうとグラフトン通りを歩いていた時、日本食の店が目についた。客もそこそこいるので、入ってみることにした。鮭の照り焼きをオーダーする。
 
やがて運ばれてきたのは、丼に半分近く入った汁の中で溺れそうになっている鮭の切り身である。ライスと味無しのわかめが、半々づつ盛られた皿も付いている。(これが鮭の照り焼き・・・、このわかめは・・・)と内心で驚いていたが、気を取り直し、ギネスでも飲もうとビールを頼むことにした。
 
すると、チンタオビールしかないという。ダブリンだからギネスビールはどこにでもあるだろうと、勝手に考えていたこちらが甘かった。わかめを汁に浸して食べながら、青島ビールを飲む。
 
周りの客は何を食べているのだろうと、離れた席に目をやる。はっきりとは判別できないが、多分味付けは、私が頼んだ物とそう変らないだろう。これを日本食と思われるのは残念だが、もしかして美味しいと思っているのだろうか。それともこれは、こちらの人の口に合うようにアレンジされているのだろうか。
 
スーパーで買った、歯が立たない程堅い食感のスシを思い出しながらいろいろ考える。これも得がたい経験かもしれないと、自分を納得させたのであった。
 
だが、最終日にいろいろな店を覗いているうちに、本当はもっと美味しい和食もあったのではないかと思い始めた。ガイドブックを持たないうえに、肝心の勘ピューターはまだ本気を出していなかった。(但し今に至るまで、作動する気配はない。)再訪する機会はあるのだろうか。食とカラヴァッジョに心を残しながら、空港へ向かう。
 
帰国後、ジェイムズ・ジョイスの『ダブリンの人びと』を読みながら、街歩きで見知った地名に懐かしさを掻き立てられた。今度は、ジョン・フォード監督の『静かなる男』の舞台であるコネマラ地方からゴールウェイ、アラン島まで回ってみよう。アイルランド全体に興味が広がってゆく