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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

アカデミア美術館から街歩きへ

絵画
ウフィツィ美術館で入場時間が早まった事に気を良くし、4時予約のアカデミア美術館へも、昼過ぎに行ってみた。するとすぐ入場できる券をくれたので嬉しくなる。入場券購入待ちの列を横目に中に入る。ミケランジェロ・ブオナローティ作『ダビデ像』の前はさすがに人だかりだが、5メートルあまりと巨大な像はどこからでもよく見える。この大理石の像を制作し続けた年月を思うと、くらくらしてくる。
 
優れた作品に向かい合うのは、気力・体力ともに消耗する。以前、徳島県鳴門市の大塚国際美術館を訪れた時は、かなり広い館内を歩き回っても疲れなかった。本物そっくりとはいえ、やはり陶板複製画である。こちらに伝わる力の強さが、本物とは違うのではないかと感じたことを思い出していた。(*大塚国際美術館は展示の方法に優れた素晴らしい美術館で、これまで2度訪れたが、機会があれば何度でも行きたい場所だ。)
 
朝からフィレンツェの凄さに圧倒されっぱなしで、脳がすっかりくたびれてしまった。休憩がてら食事をしようと、適当な店に入る。今回は、ガイドブックのフィレンツェの部分を切り取ってきたし、下調べもしてきたが、食への情熱は芸術の前に失せていた。広場に面した観光客向けの店だったが、注文したきのこのリゾットは美味しかった。期待していなかっただけに嬉しい。エスプレッソを飲み終えると、次はどうしようかと考えた。 
 
いつもの私のパターンでは、一旦ホテルに帰って休むのであるが、今回はもっと街を歩いてみたかった。訪れたい美術館はまだまだあるが、明日から順番に行けばいいと考えた。美術鑑賞は、午前中の元気がいいときに限る。頭が疲れすぎたので、身体を動かしてバランスを取る必要があった。アルノ川沿いにグランドホテルの先まで歩いて行くと、天気が良いせいか汗ばんできた。川の流れを見ながら、風に吹かれているのは心地よかった。橋を渡り今度は反対側から、ヴェッキオ橋の方まで戻ってきた。
 
橋の近くにある、菓子店に併設されたカフェで休憩する。ビスコッティ・プラトーというアーモンド入りの硬いビスケットが目についたので購入する。レジでお金を払う時、横にあったチョコレートも1個追加すると、こちらはサービスしてくれた。コーヒーのお供にチョコを食べて、何だか気持ちも弾んでくる。旅先では、心が高揚していても気は抜けない。特にヴェッキオ橋周辺では、持ち物に気を配って歩いた。そのような緊張も解けずにいた時、おまけしてもらった事で心がホワっとしたのだと思う。1粒のチョコだけど、優しさが詰まっていた。フェレンツェがよけい好きになる。