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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

パリにて その1

フィレンツェからパリまではあっという間であった。窓際に席を取り、上空からの景色を飽くことなく眺めていた。地形がくっきりと見える。車が走っている。可愛いらしい家々が並んでいる。やがて平地から高さがでてくると、川の流れも遠のいてゆく。雪を抱く高い山々に旅情を誘われる。うっとりしているうちに、再び平地が見えてくる。パリまでもうすぐだ。

 

パリ市内行きのバスを待つ間、リコーダーを学んでいるという日本の方とおしゃべりしていた。パリ留学中の友人宅に滞在するという。自分も教えを乞うためパリの先生に連絡すると、すぐ来いという。「なぜか今回はなかなかチケットが取れなくてね」、と言う。地震の影響とは気づかなかったようだ。

 

地震の日、戸棚から落ちた物が散乱した玄関に驚いたが、食糧の事まで大変な状況になっているとは考えもしなかったと言う。「丁度お米を切らしたので買いに行くと何も無くて、手に入ったお芋だけを食べて過ごしていたの」と笑う。

地震の話から、これからの事へと自然に話が弾んでいった。レッスンが済んだら、目星をつけたスイスやドイツの学校を幾つか回ってみるそうだ。気に入った学校で学びたいからという。

 

オペラ座前で彼女に別れると、もう一組バスで知り合いになった男の子連れの女性2人と一緒に歩き始めた。あまりの大荷物に、向かう方角が同じだからと、猫の手ほどのお手伝いを買ってでた。南フランスで約2週間過ごし、今度はパリにしばらく滞在する予定という。

 

音楽家の卵さんも、まるで異質のお二人も浮世離れしていて、寧ろ清々しかった。今を楽しもうと改めて思った。日本の事は時々頭を掠めていたが、地震津波の被害に遭われた方々へ、自分がどのような形で役立てるかはじっくり考えればいい。

 

遊びだろうが仕事だろうが、生活の全てに真剣に取り組めない者は、何をやろうが中途半端に終わるような気がしていた。今は、この瞬間しかない。今を存分に生きる事が、より良い明日につながる。出会いはいつも、私を高揚させてくれる。テンション上がりっぱなしの自分であった。