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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ヴィンタートゥール その2

絵画

賑わいのあるメインの通りを歩いていると、どこの店も美味しそうに思えてくる。カフェに入って、ビールと料理名がわからない一皿を注文する。混雑している店内で、テーブルに載っている率が高い物を選んでみただけで、私にさしたる基準はない。味は良かったが、値段も良かった。日本ならディナーも頂けると、物価の高さに改めてびっくりする。

 

長めに休んだ後は、Villa Floraを訪ねる予定だ。19・20世紀のフランス絵画の個人コレクションを、ご夫妻が住まわれた自宅を美術館にして展示している。平日の開館は午後2時からだ。パンフレットに載っていたヴィンセント・ヴァン・ゴッホの『Le Semeur』という絵に魅かれたが、オディロン・ルドンの作品もあるらしい。楽しみだ。

 

どこで曲がればよいのか、五差路のようなところで考えあぐねていると、自転車で通りかかった女性が、どこへ行きたいのか聞いてくれる。的確な説明のおかげで、見つけることができた。車が行きかう大きな通りをしばらく歩いてゆくと、フェンスに囲まれた庭が見えてきた。入口はどこかと回り込んで行くと、Villa Floraのプレートが見えた。門をくぐると玄関まで植え込みがあって、まったく個人のお宅にお邪魔する感覚だ。本当に美術館かとドアを開ければ、係員がにこやかに挨拶してくれる。

 

お宅訪問のように、1階の各部屋に飾られた作品を見ながら、2階への階段へ向かう。階段途中から踊り場付近にかけて、ルドンの作品が並んでいる。廊下にもある。個人宅で、5点以上もルドンの作品に出会えるとは。喜びが胸いっぱいに広がる。ルドンがたくさんあって嬉しかったと、係員にお礼を述べてVilla Floraを後にする。

 

帰りはまた通りをぶらぶらしながら、本屋を覗いたり、パン屋さんの前で、人々がオーダーするのを眺めたりしていた。明日は、この街ともお別れと思うと名残惜しかった。ランチでお腹は一杯のままであったが、屋台の焼き栗を購入することにした。温かいうちに2粒ほど味見して、残りはホテルへ持ってかえる。

 

翌日のためにざっくり荷物をまとめてから、人々が行き交う通りを眺めていた。夕暮れて寒くなってきたにも関わらず、コートも着ずにずっと立ち話している二人連れがいる。タバコを吸いながら、時々笑い合って楽しげだ。ホテルが公園の傍に建っているためか、1階のレストラン前は雰囲気が良い。レストラン内部も良い感じで、ここで頂く朝食も美味しい。2泊と短すぎる滞在に残念な思いだが、しかたがない。また来くればいいとカーテンを閉める。明日はチューリッヒだ。