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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ベルンのファスナハト

記憶に残る出会い

短いスイス滞在だが、ベルンにも行こうと前日購入したチケットを持って電車に乗った。チューリッヒから1時間と近い。『マルタの優しい刺繍』という老女を主人公にした映画で、村から老女4人がバスでベルンにやってくる場面があった。ちょっと行ってみたい、と思わせる雰囲気の街だった。

 
先ずは、ツーリストインフォメーションで街の地図を貰う。駅から出てみると、ファスナハトというカーニバルが行われていた。様々に仮装した人々が、街のあちこちにいる。大通りを通行止めにして、数ヶ所に舞台が組まれ、そこで演劇が行われている。見ていると、皆素人の参加者のようだ。キリスト生誕の話かと思えば、熊が出てきたりと話に脈絡はなさそうだ。但し、こちらはドイツ語が全く解らないため、正確な事は定かではない。
 
あちこちに屋台も出ている。味見のつもりで少しづつ買ってみる。お祭りはあまり好きではない私だが、場の楽しげな空気が伝染したのか、うきうきとしてくる。劇への出演者たちも、出番の合間に屋台に並んでいる。天使と子グマが美味しそうに食べている様子も、微笑ましい。市民総出の、手作り感溢れるカーニバルから離れて別の通りへも向かう。
 
大通りから路地へ入り、商店街を覗き、デパートへも入ってみる。どんな物を売っているのだろう。買い物はしないが、興味はある。ツマミ食いでお腹は空いていないが、休憩がてらカフェに入る。マルタ達老女4人組は、ホットワインのようなお酒のような何かを飲んでいたが、せっかくのスイスだからとホットチョコレートを頂く。美味しいが、甘かった。
 
青空マーケットが会場のジャズ演奏も聞いた。他には特に回りたい所もないので帰る事にした。チューリッヒ行きの車内で、ベルン在住の日本人女性とご一緒した。三味線のお稽古に行くとの事だ。スイス人のご主人とお嬢さんとの三人暮らしで、週に数回アインシュタインの家で案内係をしておられるそうだ。「ベルンのファスナハトは有名なんですよ」とおっしゃるだけあって、ベルン駅に到着した電車からは次々に仮装した人々が降り立つ。偶然とはいえ、私もいいタイミングでベルンに来たと嬉しくなる。
 
チューリッヒ駅構内のカフェで、彼女とお茶をご一緒した後、一人で街歩きをした。昨日遊覧船乗り場で見かけた仮装集団も、ファスナハトだったと解る。今日は市内でも見かけた。小高い丘から街並みを眺めたり、昨日とは別の通りを歩いたりする。石畳みの坂道沿いには、おしゃれな店もあって意外な感じもする。こじんまりした街から勝手にイメージしていたが、チューリッヒはスイスで一番の都会だ。認識を改める。だが私は、この位の規模の街が好きだ。明日はお別れ、短すぎて本当に残念だ。シュバイツァーホフにも、あと数日は滞在したかった。再訪したい街ばかり増えて行く。