照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ソグネフィヨルド巡り〜自ずと湧く自然への畏敬の念 イン ノルウェー

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フィヨルドノルウェー語等:fjord、異称:峡湾、峡江)とは、氷河による浸食作用によって形成された複雑な地形入り江のこと。(Wikipedia より)
 
出発間際にボート乗り場へ行くと、長蛇の列であった。ジェニーは前から二番目に並んでいたが、割り込むわけにはいかないので私は列の後ろへつく。
 
乗船しても、2階の窓際の席は空いていなかった。1階に戻り、席を確保してからジェニーを探す。彼女は外のベンチに座っていた。5時間半も寒い外にはいられないので、私は中にいると断ってから席に落ち着く。
 
初めて会った人と6時間も一緒にいれば話も尽きる。ましてこちらは、拙い英語だ。お互い丁度良かったかもしれないと思った。
 
絵葉書をくれた知人のように、フィヨルドを見て人生観が変わる事はなかったが、想像以上に素晴らしかった。遠くの山に白い筋が見えると思えば、それはフィヨルドに落ちる滝であった。万年雪を抱く山々を背景に、ひっそりと佇む家々が水面に映るさまは実に美しい。
 
ある場所に停泊した時、ボートを見に来たのか、海を眺めて佇む親子がいた。乗船を待つ人々や、見送りや迎えの人々が放つ賑やかさから離れ、静かに立っていた。ただ海を見つめている幼子と両親の姿に、ムンクが描く絵のモチーフが重なった。そこには祈りがあった。
 
人の手で変える事のできない場所がある程、人は自然に対し畏敬の念を抱く。そして共存してゆく道を探る。静かにフィヨルドを進む船上で、これはまさにムンクの絵の世界ではないかと思った。