照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

通勤の朝〜いつも見慣れた風景も視点を変えれば小さな旅になる

f:id:teruhanomori:20141128190319j:plain
鉢植えのモミジ
 
f:id:teruhanomori:20141128190352j:plain
季節遅れの朝顔
 
通勤の朝、私は会社最寄のJRの駅から一つ手前で降りて、30分弱の道を会社まで歩く。幹線道路から脇道に逸れて、草花や木々を眺めながら歩いてゆく。
 
マンションの前に置かれた鉢植えのモミジに、晩秋を感じシャッターを押す。ふと斜め前の子供服屋さんに目をやれば、だいぶ季節遅れの朝顔が咲いていた。何だかその対比が面白く、こちらも写真に収める。ささやかな紅葉を見たことで、燃え立つような色で、最後の輝きを放つ山の木々たちへと思いは飛んで行く。
 
落葉樹は翌年の芽吹きに備えるため、その葉を赤や黄色に染めて散らしてゆく。1年に区切りをつけるための儀式は、自然が織りなす見事な光景として人を喜ばせてくれる。
 
一方、丸裸になった木は、冬枯れと一括りに称されて侘しさを誘う。だが木の内部では、着実に次の季節へ向けて命が育まれている。染色家志村ふくみさんは、(一番美しいさくら色は、花が咲く直前の樹皮を染め出した時にでる)というような事を随筆で書いておられるが、どの木もその時に向けて静かに力を蓄えてゆく。
 
私も樹のように、一年毎にすべてを見直しシンプルな暮らしを続けていきたい。内部を豊かに保つための努力もまた大切だ。栄養が行き渡らないと、次第に枯れゆく木になるだろう。
 
本を読んだり音楽を聴いたり、映画や芝居に行くのもいい。もしくは旅に出たり、散歩をしたりとその方法は人さまざまだ。そこから受けた刺激をきっかけに、感受性を高め、考えを深めてゆくことで心が豊かになってゆく。それはやがて、その人の強さ、優しさ、美しさとして花開いてゆく。
 
同じ道を歩いていても、草花や木々がもたらす季節の変化に、日々ちょっとした発見があって心が弾む。そしてこのようなゆとりを持つ事で、仕事にも気合いが入る。電車を降りてから会社へ着くまでの小さな旅は、時折私を哲学的にしてくれる