照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

飫肥(オビ)の天ぷらと厚焼き玉子 宮崎の旅 その1

f:id:teruhanomori:20141203043718j:plain
復元された大手門  
 
f:id:teruhanomori:20141203043810j:plain
 
宮崎・日南市飫肥は落ち着いた佇まいの町だ。緩やかな坂道を飫肥城趾の方へと登って行くと、時代が遡ったかのような錯覚に陥る。大手門をくぐり抜け城跡の辺りまで行くうちに、清々しく気持ちが洗われる思いになる。丈高い木々から発せられる、フィトンチッド効果であろうか。訪ねたのは今年の5月、まさに風薫る季節であった。
 
宮崎は、どこを訪れてもパワースポットと感じられる場所ばかりだが、飫肥はとりわけ私の気をひいた。こんな素敵な城下町に巡り会えた事が嬉しく、豊臣秀吉の時代から続いたかつての城へ想像の翼を広げながら、杉林の中で暫し静けさに浸る。
 
やがてまた大手門まで戻ると、武家屋敷通りへ曲がってみた。小村寿太郎生家跡もある。司馬遼太郎坂の上の雲』で描写された風貌が浮かんでくる。かつての青年は、この地から東京へ出たばかりか、やがてハーバード大学へも留学する。その志に敬服する。
 
飫肥城跡を見物した後は、名物の飫肥天と厚焼き玉子を頂く。魚の擂り身に黒糖と豆腐に味噌などが入った飫肥天は、通常馴染んださつま揚げとはまた異なる食感で美味しかった。黒糖と豆腐効果か、やや甘くふわっとしている。揚げたてを頬張る楽しさも加わる。
 
飫肥独特の厚焼き玉子は、店により味も違うので、いろいろな店で一切れづつ試すのがお勧めだ。プリンを堅くしたような食感の甘い玉子焼きは、お茶とのセットで頂くのもいい。飫肥天の店に併設された喫茶室でコーヒーと頂くのもまた良しと、お菓子の感覚で味わえる。
 
城への献上品だったという事なので、殿様もおやつに召し上がったのだろうか。たっぷりの卵に砂糖と味醂に塩を加え、上下からじっくりと時間をかけて焼いた厚焼き玉子は、日持ちもするようだ。添加物などない時代の知恵と工夫は素晴らしく、そのような技術を活かした食べ物がもっと食卓にのる事を願う。
 
ちなみに、甘い物が苦手な方には、杜氏潤平という優れものの焼酎がある。飫肥には、私の知らない味もまだまだあるだろう。また是非伺いたい。
 
訪ねた土地それぞれに思い入れはあるが、宮崎に私はとりわけ強い力を頂いている。パワーを感じる土地だ。2011年、友人に会うため初めて宮崎に降り立って以来、今回で6度目の訪問だ。その折々に、私が感じた宮崎をぜひご紹介したい。
その2へ続く