照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ヴァイオリンの夕べ〜川畠成道さんのヴァイオリン演奏に中野雄さんのお話

 
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南天
 
中野雄さんの解説で川畠成道さんのヴァイオリン演奏を聴くという講座が12月6日にあった。タイトルは、「魂のヴァイオリニスト・川畠成道 無伴奏作品の神髄」で、場所は新宿住友ビル・朝日カルチャセンターだ。室内には4・50名分の椅子が用意されていて、サロンという感じである。
 
ここでの講座は数年前、ヴァイオリ二スト天満敦子さんの時が初めてであった。一連の講座で、川畠さんのヴァイオリン演奏もお聴きした。今回は久しぶりの講座だった。コンサートホールとはまた別の、親しみやすい雰囲気の中でヴァイオリンの音色に浸れるのが良かった。
 
但し私の主目的は、中野雄さんのお話を伺う事である。広く深い知識と経験に加え、素晴らしい感性の持ち主である中野さんのお話は、ユーモラスで楽しくいつのかにか惹きこまれてしまう。
 
 
私がクラッシック音楽に惹かれたのはだいぶ遅く、旅からの帰り、機内でビゼーの「アルルの女」を聞いた時からであった。それから、少しづつCDやコンサートで音楽に馴染んでいった。
 
ある時、ウィーンフィルのメンバーによる少人数でのコンサートへ行った事がある。美しい音色にうっとりし、もっと音楽について知りたいと思った。その時に出会ったのが、中野雄著『ウィーン・フィル音と響きの秘密』(文春新書)であった。
 
これを読んでから中野雄さんへの興味が湧き、次々に著書を読んでみた。どの本も深い内容で、読み応えがあった。『丸山真男 音楽の対話』(文春新書)も私の好きな本だ。読後直ぐから、ベートーヴェンのファンになってしまう。
 
音楽全般の話はとても興味深く面白いが、それ以上に、中野さんの音楽家を評価する姿勢が私をとらえた。特に、指揮者小澤征爾に関するくだりを読んで、批評するとはこのような事かと感銘を受けた。
 
それ以来、一度中野さんのお話を伺いたと思い続けていたが、特に調べもしないでいた。ある時ふと思いついて検索したら、朝日カルチャーセンターの講座がある事をを知りすぐ申し込んだ。
 
川畠成道さんのヴァイオリンはまさにタイトル通りこちらの魂に響き、また演奏の合間の柔らかい物言いも好ましかった。前回はピアノ伴奏の方もいてコンサートという感じだったが、今回はまた趣が異なった。
 
ゴーストライターとして今年の初め話題になった新垣隆さんとは、桐朋学園大学時代からの旧友でお酒を酌み交わす仲との事だ。今回は新垣さんが川畠さんのために作曲された 、 「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」も披露して下さった。  
 
本当に心豊かな1時間半であった。中野さん、川畠さんありがとうございました。