バンコクの休日 2014・12・30
正月休みをバンコクで過ごすのは、今回で3回目。馴染んだような初めてのような。だが旅は、いつでも茨木のり子の次の詩のようでありたい。(現代詩文庫20
はじめての町
はじめての町に入ってゆくとき
わたしの心はかすかにときめく
そば屋があって
寿司屋があって
デニムのズボンがぶらさがり
砂ぼこりがあって
自転車がのりすてられてあって
変わりばえのしない町
それでもわたしは十分ときめく
中省略
そうしてわたしは好きになる
日本のささやかな町たちを
水のきれいな町 ちっちゃな町
とろろ汁のおいしい町 がんこな町
雪深い町 菜の花にかこまれた町
目をつりあげた町 海のみえる町
男どものいばる町 女たちのはりきる町
何の変哲もないごくありふれた町、そこに暮らす人々への、優しい眼差しが溢れている。同様にその眼差しを、世界の街角へも向けてみよう。耳慣れない言葉や見知らぬ人々が、身近に感じられるだろう。
今日からほんのつかの間、ちょっと気取って、詩人を真似て、私は旅人だ。早朝からバンコクの街を歩く。朝食は屋台でおかゆかな、それとも麺かな、楽しみだ。