照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

「自己基準と他者基準」に思う その1

私は夜、NHKラジオ・第二放送を聞くことが多い。偶然聞いた20時半からのカルチャーラジオがなかなか面白く、続きを聞き逃さないないようにと早めにスイッチを入れている。前の時間帯は高校講座で、先日は国語総合・現代文の時間であった。鈴木孝夫・評論「自己基準と他者基準」がテキストである。専門の方の朗読が耳に心地よく、つい聞き入ってしまう。日本人が思う当たり前は、国によっては当たり前ではないという事がテーマのようだ。

例として、まず虹が挙げられていた。虹の色は、日本では誰に聞いても7色と答えるが、国によって異なる。ドイツでは5色、イギリスでは6色と答える人が多く、7色という場合もある。ポーランドやトルコでは知らないと答える人が多いという。フランスでは7色だそうだ。

次に蝶と蛾の例が挙げられた。アメリカや日本では、そのどちらもが区別されていて呼び名も別にある。だがフランスでは、両者に区別はなくどちらもパピヨンと呼ぶそうだ。図鑑でもごちゃまぜに表示されているという。但し、専門家の場合は、日本やアメリカのように、両者を区別して表示するらしい。

私が面白いと思ったのは、パピヨンだ。本文の朗読を聴きながら、フランス在住日本人女性の方のブログ記事が重なった。暮らしの中で考えた様々な事を綴っておられるのだが、物の見方や分析に共感を覚える事がしばしばあって、いつも楽しみにしている。何事にも造詣が深く、文学とクラッシック音楽にとりわけ高い関心をお持ちのようだ。ここで紹介された本は、どれも興味深い。音楽に関しても、以前は趣味としてご自分でも演奏なさっていたようだ。今はお子さんのピアノレッスンに関する話題が多い。また、家族の健康を与る者として、食への意識も高くそのテーマはたびたび登場する。

ある時の記事の中に、ポルトガルで義両親が栽培されているキャベツの写真があった。それを見た人から、その写真の野菜はキャベツではなくケールだという指摘があったそうだ。その指摘以後、キャベツについていろいろ考察されたようで、数日後に記事になさっていた。結論から言えば、フランスでもポルトガルでも、結球しているか否かに関わらずすべてキャベツと呼ぶそうだ。

これはまさに、講座の趣旨である「自己基準と他者基準」の好例と、ブログの記事を思い出した。「人間のものを見る見方、ものに接する態度というものは、多分にその人が生まれた風土や文化、特に言語に左右される」というところで、その日の講座は終わった。なかなか興味深いテーマだ。高校生向けではあるが、講師の方の解説と合わせて、次もぜひ聞きたくなる。

それにしても、自分の常識が、世界中で適用するとは限らないと改めて考えさせられる。ブログへコメントをした方も、我こそが正しいとの思いがあって指摘したのかどうか、詳しくは分らないが、ニュアンスから察するにそれは多分にあったようだ。ブログの記事へ指摘するということでは、また別の事が思い出された。今度はツイッターの記事だ。
その2へ続く