照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

バレンタインチョコに思う

バレンタインチョコの売り上げが、500億円というニュースに驚いた。バレンタインに嫌気がさしている女子が急増中という記事もインターネット上には流れていたが、これだけの額になれば、嫌気がさされては困る菓子業界が、あれこれ知恵を絞ってくるだろう。

数年前からは、高級品を自分のために買う自分チョコなるものも流行っているようだ。日本酒の獺祭とコラボしたチョコもある。スイーツに縁がなく、これまで一度もバレンタインデーに参加したことのない私は高みの見物だ。

でも、嫌ならどうして止めないのだろう。むしろそちらの方が疑問だ。会社で、参加しないのは私位のものだったが、最初からしなければそういう人で済んでしまう。今の職場は、以前に比べ規模が小さい分女性社員も少ないが、皆止めてしまったのか目立った動きはない。かつての義理チョコ習慣を残している人もいるのかもしれないが、こっそりに変わっていてまったく分からない。本当に楽な職場になった。

自分だけがやらないというのも、最初は勇気が要った。どのみち女性社員が一定数いればグループができて、何事につけ陰口は言われるものだ。だが、今の会社に勤務するまで、私には幸いなことにそのような経験はなかった。入社当初は戸惑ったが、すぐに孤高を決め込んで我が道を貫いてきた。仕事で横のつながりがないため、できた事かもしれない。例えあったとしても、仕事に支障がでるようなら、戦略を立てて対処すればいいだけで、感情的になるような事ではない。

自分を疎ましく思う相手から心理的な意地悪をされたりしても、私は決してしょぼんとはしなかった。相手の思うつぼに嵌って、喜ばせたりはしない。代わりにそのような時こそ、溌剌として楽しい雰囲気を醸し出す努力をした。自分がきちんと仕事をこなしていれば、相手が誰かれに私の悪口を言いふらそうと、人は言葉を鵜呑みにせず、働きぶりで判断してくれる。また、陰口で結びついたグループは、内部から瓦解することもよく解った。そこに信頼関係など存在しないからだ。決して有り難くはないが、これもいい経験だったと今では思える。

嫌と思う事を、止める努力もせずにただ悩む人は、その方が楽だからだと思う。小さいな事でも、人がするから何となくではなく、ひとつひとつ自分で考えて決める事こそ習慣にすべきだ。そのほうがむしろ、勇気とエネルギーが要る。また、人間関係の煩わしさは、別の会社に移ったところでついて回るし、人が集まるところには必ずでてくる。だからこそ、主体性を持って、自分の人生は自分の望む方向へ持ってゆくしかない。そのようにしているうちに、「寂しさの釣りだし」からではない、本当に理解し合う人にも出会える。

お祭り事に乗るのも乗らないのもお好みだ。どうせやるなら、楽しんで参加すればいい。高級な自分チョコで、自分を労ってあげるのはいい案だ。私もいつか、甘い物が欲しくなったらやってみようかな。