照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ローマ テヴェレ河沿いに

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テヴェレ河沿いの風景
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ティベリーナ島

テヴェレ河沿いに歩いてしばらくすると、犬を散歩させている人に時たま出会うのみで、少し寂しいくらいだ。だが、橋に差し掛かるたび、人も車も増えてきて少しホッとする。

校外活動なのか、中学生くらいの賑やかな一団が橋を渡ってくる。信号のところで、早くと教師が促すのもどこ吹く風で、皆思い思いに歩いている。先頭で旗を持つガイドは、われ関せずというように、さっさと一人で歩いて行く。その様子に、学生はどこの国でも一緒だと、可笑しくなる。

またしばらく静寂に包まれ、左右を眺めながら歩いているうちに、どこかで見覚えのある風景だと感じた。そして、絵の中の木々に思い至っ
た。とりわけルネッサンス以降の絵画によく登場してくる、背景の木々に似ていると気づいた。

地球規模から考えれば、500年やそこらでは大きな気候変動もなく、木々の形にさほどの変化もないはずだ。代変わりしても、木々の命は、その風土の中で続いてゆく。旅に出なければわからないのは、地形を含めた植生、風や空気が伝えてくれる感覚だ。こればかりは、どれほど優れた映像であろうと実感できない。

そんなことを考えていたら、ティベリーナ島が見えてきた。この島の手前で橋を渡ると、目指すリストランテ・カルロメンテへは近い。たくさん歩いて、食べる準備は万全だ。もしかしたら、大食いチャンピオンになれるかもしれないと思えるほど、お腹は空っぽだ。