照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

友達の作り方指南は大学の仕事?

少し前、大学が、新入生に友だち作り指南をするというニュースに驚いた。そんなことまでお膳立てするのは、過保護ではないのかと考えてしまった。また、手助けしてもらうことで、本当に友だちができるようになるのだろうかとの疑問が湧いた。後日談として、是非その効果のほどなど報道してほしいと思う。

大学に入るまで、友人と呼べる人の一人もいなかった学生は、それまでの日々をどのように過ごしてきたのだろうとも思った。本当にそんな人がいるのか、信じられないくらいであった。だがその時ふと、藤代さんの本の前書きが頭に浮かんだ。

今年の初めに出版された、『女ひとり、イスラム旅』(朝日文庫)の著書・常見藤代さんは、本の冒頭で書いているように、大学に入るまで全く友だちがいないほど内気だったという。そんな自分を変えたいと一念発起して、インドネシアに旅立つ。以前の記事はこちらhttp://teruhanomori.hatenablog.com/entry/2015/02/24/050732

現地では、知り合った女性に誘われ、自宅に泊めて頂くという、自分でも思いがけない経験をした。なんとそれを皮切りに、結局、20数軒のお宅にお世話になったそうだ。 二言三言話しただけですぐうち解け、会う人皆、自宅へ泊まれと勧めてくれたという。それ以来、すっかりイスラムのイメージが変わって、イスラム圏ばかりを旅するようになったそうだ。

藤代さんとお会いしたのは僅か2度程だが、実に物静かな方で、どこにそれほどのエネルギーを秘めているのかと、本で知る行動力とのギャップに驚かされる。まして、友人が一人もいなかった人とは到底考えられない。

しかしそれは、自分を変えようと藤代さん自らが行動した結果だ。まわりからどれほど揺り動かされようと、自分が変わろうとしない限り、世界への扉は開かれない。誰かの手助けは、窓を開けるところまでに過ぎない。外の景色の素晴らしさに気づかせてもらっても、そこへ一歩踏み出せるかどうかは、自分の中から湧き起こる力次第だ。

自分を変えたいと思ったら、本気でやれば必ずできる。友だちができる以前の問題に目をつぶり、ただ臆病になっているだけでは何も変わらない。もしそんな自分を、もう一人の自分が外から見たとしたら、果たして魅力的に見えるだろうか。自分が友人になりたいような自分を、まず目指そう。人からの評価ではなく、自分からの評価を大切にしよう。一人で行動できる人は、本当は強い人だ。もし、友だちがいないと寂しい思いをしている人がいたら、今一度、じっくり自分と向き合ってみるといい。

斯く言う私も、自称孤独遺伝子の持ち主ゆえか、人からは、多分ひとりぼっちと見られているに違いない。だが、そんなことは気にならない。なぜなら、私は友だちの数こそ少ないが、それぞれが珠玉のような存在で、魂が応えあうようなお付き合いをさせて頂いている。今悩んでいる人にも、きっとそのような友人ができるはず。ファイト!

孤独遺伝子の記事はこちら