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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

まなざしに魅かれて ヘレン・シャルフベック展へ

絵画
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芸大美術館横の大きな看板

一昨日、根岸の子規庵から上野の芸大美術館へ回り、ヘレン・シャルフベック展を見てきた。初めて耳にする名だが、いつも利用する駅に貼られたポスターの絵と、本人の写真に興味を覚えた。それに、フィンランドの画家というのも、何だか旅情を誘う。

画風の変遷はあるものの、描く対象に寄せられる眼差しは、一貫している。キャッチフレーズにもなっている「魂のまなざし」は、まさに言いえて妙、ずいぶん上手い表現だと感心する。

その時々に影響を受けた画家のタッチが絵に表れるが、例えどのように描こうとも、その底には静謐の一言あるのみ。どの絵からも、不思議な静けさが漂ってくる。出口近くに展示された抽象画のような作品に、晩年になると画家には、対象物のエッセンスだけが見えてくるものなのかと思う。同様のことは以前、セザンヌの絵にも感じた。

絵には、画家個人の心象風景がそのまま表れ出てくる気がする。モデルは形だけのことで、そのまなざしには、描く者の思いが色濃く漂っている。今回、ヘレン・シャルフベックの絵を見てみたいと思ったのも、そのまなざしの奥にある思いに惹かれたとも言える。

馴染みのない画家のせいか、展覧会場は空いていた。このくらいゆったりと眺めてこそ、絵画鑑賞の名に相応しいと嬉しくなる。

週半ば、昼下がりの上野公園は、歩くにも丁度良い人出であった。時期や催し物によっては、公園内も美術館もうんざりするほどの混雑ぶりだが、今回は本当に珍しく空いていた。このくらいなら、また出かけてきてもいいなと思う。良い展覧会であった。