照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

人生を楽しむ高齢の女性たち

文学関連の講演会というと、参加するのは高齢者ばかりと聞いたことがあったが、根岸の子規庵を訪れて納得した。平日の昼前ということもあってか、先客はもとより後からの客もほぼ女性、しかも70代後半と思われる方ばかりであった。説明してくださる係の方もまた、高齢の男性であった。
 
次に訪れた芸大美術館でも、男性はちらほらだが、中年以上の女性、殊に高齢の方が多かった。二人・三人と、それぞれ友人と連れ立った皆さんは、おしゃれで活き活きとしている。私同様、独りで来ている方ももちろんいる。絵を見て回りながら、さりげなく観客も観察させて頂く。話し声なども耳に入ってくる。
 
すると突然、高齢の女性二人連れの気になる会話を思い出した。だいぶ前のこと、どこの美術館だったか、ゴヤの絵の前に立って、連れと感心しながら、何度も「ハマ、ハマ」と繰り返していたのだ。つい余計なお世話ながら、「マハ」ですよと教えてしまった。多分、この方たちの世代感覚では、ハマの方が馴染みがあったのだろう。でも、「ハマ」ではイメージが変ってしまう気がしたのだが、それはまったく私の感じ方だと後で少し反省した。
 
それはさておき、映画館などでも、元気な高齢女性に出会う確立が高い。こうしてみると、人生を楽しむ術は女性の方が上回っているのかもしれないと思えてくる。日々病院通いに明け暮れるよりは、着飾ってお出かけする方がずっと楽しいに違いない。私もどうせなら、元気な高齢者の仲間入りをしたいものだと思いながら、美術館内を巡っていた。