照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

子供と本 幼稚園の頃の思い出

前回は、子供たちに薦められた本から、新たな楽しみを得たことについて書いた。ついでに、彼等が幼稚園時代に好きだった本など思い出してみた。

長男のお気に入りは、『エルマーの冒険』(ルース・スタイルス・ガネット作)だ。3冊シリーズであったが、やはり一作目が一番好きなようであった。

エルマーに劣らず冒険好きの長男は、休みの日の朝、家族で散歩に出かける時はいつも、先導役であった。真っ直ぐ進むか、左に曲がるのか、それとも右か、三叉路や十字路に差し掛かる度、持参の白い紙を地図と見立てて覗き込み、もっともらしく頷いてから方向を指し示すのは長男の役目であった。まるで、賢者の如きその姿に、家族は恭しく従った。

だが、ひとたび商店街に入ってしまうと、それまで迷う事無く下せた判断も鈍くなる。まして、マクドナルドの前まで来ると、頭がどう判断しようと、足が進もうと促しても、お腹が頑として言う事を聞かなくなってしまう。エネルギーの補給をするしかないと覚った親は、仕方なく休憩を提案する。

(ああ、道案内なんか任せるんじゃなかった)と後悔しても、後の祭りである。ハンバーガー大好きの次男は、思わぬ成り行きにニコニコ顔だ。何だか訳の分からない散歩にしぶしぶ付いて歩いていたが、やっぱり僕の兄ちゃんだという顔で、急に元気になってしまった。何しろ次男は、野菜以外、食べるのが大好きだ。野菜は玉ねぎだろうが何だろうが、すべて葉っぱと一括りにして、自分は虫じゃないことをアピールする。

そういえば次男は、『からすのパンやさん』(かこさとし作)が大好きであった。寝る時のリクエストは必ずこの本で、何度も繰り返し読んであげた。何故この本が好きなのだろうと、長いこと思っていたが、今ようやく謎が解けた。絵本の中に出てくるいろいろなパンが、お目当てだったに違いない。

美味しそうなパンが出てくる話に耳を傾けつつ、そのまま夢の世界に突入したかったのだろう。目覚めるまで、溢れるパンの中で過ごしたかったのかもしれない。それはそれで楽しそうだ。おまけに、夢見るだけなら、財布にも優しい。

とまあ、些細な思い出話に浸ってしまったが、小さな頃の読み聞かせが、本好きになるかどうかには、ほとんど関係ないと思う。また、親がどれほど本を持っていようと、興味を示す子もいれば、無関心な子もいる。同様に、本とは無縁な環境に育った場合でも、無類の本好きになる者もいる。結局、自分が本を必要として初めて、本への関心が湧く。それからでも遅いことはない。

かつて、子供たちに本の読み聞かせをしながら、一番楽しんでいたのは自分だった気もする。所詮何でも、その程度がいい。あまり、教育的を意識しない方がいいと、改めて感じる。