照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

台風の効用?

土曜の朝、NHKラジオ第二放送の文化講演会という番組で、元大分気象台台長で気象予報士・花宮廣務さんが雨についての話をされていたが、台風の効用という点が殊に興味深かった。

地理的な条件が日本に梅雨や台風をもたらすが、この二つがなければ、日本は干上がってしまうという。一月以上も続く梅雨は、憂鬱の代名詞の如き言われ方だが、その恵みに改めて思いが至る。台風もまた、乱暴者が近寄ってくるイメージが強く厄介者扱いだ。ちなみに台風の風は、嫌われものの最たるものだが、海の中をかき混ぜるという効用があるそうだ。それによる恩恵もまた大きい。

日本は山岳地帯だから、水もたっぷりあるのだろうと軽く考えていた私は、認識を新たにした。そういえば、カラ梅雨や、台風の少ない年は、干上がったダムの底がニュースとして報じられる。深刻な水不足になると、人も作物も、家畜たちも、皆困ってしまう。

梅雨や台風といった、都市生活者から1番の嫌われものは、私たち全ての生活を潤してくれていたのだ。時に台風がもたらす被害は甚大で、悪い面ばかりいわれるが、治水を無視した山野の開発こそ見直されねばならない。

樹木や田んぼの貯水能力にも、もっと目を向ける必要がある。お米の消費が減り続けている現在、他所の国から輸入している場合ではないともおっしゃっていた。確かに、田んぼの力というか、稲作の効用はだいぶ以前から言われている。

だが、稲作農家への補助金問題とか、国家間での取り引きに関する思惑とか、稲作を取り巻く状況は複雑だ。日本は、美しい国どころか、泥まみれの国にもなりかねない。自分は麦派だからお米も田んぼも関係ないやと思っていても、決して無関係ではいられなくなるだろう。風が吹けば桶屋が儲かるの逆方式で、必ず自分に降りかかってくる。

台風の被害を最小に、その効果を最大限に活かすため、もっと皆が知識を持って、知恵を出し合うことが求められているようにも思う。恵みの雨にするもしないも、まさに自分たち次第。欲で物事を考え、推し進めれば、あちこちで、土砂災害が引き起こされ続けるだろう。弱ってしまっている木や山の保水能力を補強して、助けてもらわねばならない。

それにしても物事は、あらゆる場面で関連していると、改めて感じた。さまざまな視点から、考えねばならないことが多い。天気はまさに、私たちを取り巻く状況を教えてくれる。