照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

孤独遺伝子の持ち主同士が旅すれば②

到着した日の夕飯だけは、それぞれの家族で食事ということになり、私たち三人は、予約した店(マリポサ)の前で集合することにした。後は、結婚式後のレセプションで一緒にテーブルを囲んだのみだ。

何しろ、自称孤独遺伝子の持ち主親子だから、一人行動が性に合っている。食事も含め、行動にはお互い関知しない。ハワイ滞在中も、どこへ行ったか、特に話題にもしなかった。

帰国してしばらく後、ひょんな事から、2日目には何と、同じバスに乗っていたことが判明して笑ってしまった。ノースショアへ行くには、アラモアナ・センター前から一時間程バスに乗り、更に別のバスに乗り換えなければならない。

私の乗ったバスが、乗り換え地に着いても、ノースショア方面行きのバスはすぐに出発せず、結局、次のバスが来るまで、一時間程待ってしまった。私は、早いバスできた甲斐があって座れた。

次男は、後のバスで来たため、混雑した車内で奥までは行けず、前の出口付近に立っていたようだ。バス内はほぼ観光客でぎっしり、後部座席の私には、次男がいる前方までは見えなかった。だが、時刻と車内の様子をすり合わせると、間違いなく同じバスであった。

私が、当初予定していたハレイワのバス停で降りていたら、次男と会えた可能性が高い。だが、訪ねようと思っていた場所の地図を、ホテルに置き忘れてしまった。そこから更にミニバスに乗らねばならないのだが、どうしても行きたいという程でもない。結局、もう少し先の停留所までバスに乗って行くことにした。

バスを降りて橋の上までくれば、亀がゆったりと泳いている。その辺りを少し歩いてから、折良く開店したてのレストランに入り、ビール片手にハワイの風に吹かれていた。たっぷり休憩してから、再びバスに乗り、島を半周してアラモアナまで帰って来た。

1、5ドルのザ・バスの旅は、想像以上に素晴らしかった。ショッピングやグルメとは無関係の旅だったが、それまで関心のなかったハワイが気に入ったのも、バスからの風景に心魅かれたからに他ならない。

一方次男は、ハレイワタウンを充分楽しんでから、同じルートをアラモアナまで戻り、ダイヤモンドヘッドへ向かったという。お互いすぐ側にいながら全く気づかず、独自の行動をしているなんて、やはり私たちは孤独遺伝子の持ち主に違いない。たとえ群れを離れて一人になっても、生きていけるだろう。それこそが、孤独遺伝子の意図するところだ。
その3へ続く

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