照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

方言に人の優しさ、温かさを感じた朝

先日朝のラジオで、庄内地方の民話が披露されていた。NHKラジオ第1、5時からの番組には、毎朝便りというコーナーがあって、各地方の特派員のような方が、地元の話題を提供してくれる。
 
朝の支度をしながらのながら聞きなので、全部は聞き取れなかったが、地元の言葉で語られる民話が耳に心地良かった。
 
お餅の好きな大黒様は、ある時、お餅をたらふくご馳走になった帰り道、お腹が痛くなってしまった。こういう時は大根を食べると良いだろうと、丁度、川で大根を洗っていた女の人に1本くれないかと頼んでみた。
 
しかし、姑から、本数を数えて渡されているので、勝手にあげるわけにはいかない。困ったお嫁さんは、二股に分かれた大根があるのに気づき、その片側ならあげてもいいだろうと、大黒様にくれたそうだ。
 
おかげで、大黒様は腹痛が治って喜んだ。そして、そのお嫁さんの家は、末代まで栄えたと言う。話の内容よりは、その温かい語り口に惹かれた。

方言っていいなと思い、庄内とはまた違うが、若い頃しばしば訪ねた友人の故郷である、山形・高畠町が懐かしく思い出された。

初めて食べたたんぽ餅。丁度きりたんぽのような形で、木の周りにごはんを巻きクルミ味噌を塗ったものだ。こうして書いていると、囲炉裏で炙った香ばしい味噌の香りが、記憶の底から立ち昇ってくる。

友人のお父さんや伯父さんが話す山形弁の温かさが、優しいお人柄と相まって懐かしい。何言ってるかわかるかと、東京から訪れた私たちに気を使ってくれたけど、案外わかるものだ。録音か何かで聞かされたらまったくわからないだろうが、その場に居れば、雰囲気で通ずることってある。

ともあれ、あの朝は、方言から、いろいろと懐かしさが押し寄せてきた。