照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ポルトガル誕生の地ーギマランイス

ギマランイス駅を出て左へ進むと、ホテルが見えるので、そこを右に曲がり、ゆるやかな坂を道なりに真っ直ぐ下る。信号がないので、なかなか渡るタイミングがつかめず立っていると、トラックが停まって渡るよう合図してくれた。すると、ひっきりなしに来ていた反対車線の車も停まってくれる。

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壁上部の文字

程なく、「ここにポルトガル誕生す」という、壁に描かれた文字のある場所までくる。私が目指すのは、初代ポルトガル国王アフォンソ一世が誕生したというギマランイス城だ。方向を間違えてないかなと心配になると、小さく出てくる城の案内。それに従って、ひたすら歩く。

こじんまりした町なのだから、大した距離ではないだろうとたかをくくった結果が、足に出た。城はどこでも高い所にあって、結構登る。といってもも、通常なら何ていうこともないが、今朝は、足を使い過ぎている。

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オレンジとレモンの木

途中から、近道はないかと適当に行けば、レモンとオレンジの木、気を良くして写真に収める。それでもまだ続く坂道に、次第に、何しに来てしまったのだろうとの思いが頭をもたげ始める。だがそれも、城の前まで来た途端、私はこのような場所が好きなのだと、調子の良いことを考えだす。

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城の前に建つアフォンソ一世の像

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10世紀に建てられたギマランイス城 
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大きな岩を利用?
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城壁
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正面奥は15世紀初頭に建てられたブラガンサ公爵館

城壁に登って、(といってもクレリゴス教会の塔とは違って、低いためずっと登りやすい)、眼下に広がる街並みや後方の山を眺めていると、気持ち良い。このすぐ側にあるブラガンサ公爵館も、雰囲気のある建物だ。

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ブラガンサ公爵館正面 下中央が入り口

ブラガンサ公爵館の前には、見学を終えた小学生たちが、引率の教師たちと、迎えのバスを待っている。入り口を塞いで立っているため、掻き分けながら進む。すると1人の女の子が、はにかみながら、「ありがとう」と、日本語で言うので、やや驚く。私が笑顔を向けると、周りの子たちが、日本語通じたねというような顔で、その子を見る。

ポルトガルへ来てまだ2日目だが、たった一言の日本語に、ほっとするような思いがして嬉しい。城からの帰り道は、お母さんに手を引かれた、サンタ帽の幼子が坂を登ってくるのに出会った。お互い、笑顔で挨拶する。このようなちょっとしたことが、旅先では、心を暖かくしてくれる。そして、一人旅の心細さが、次第に楽しさに変わってゆく。

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クリスマスディスプレイ
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聖母子のアズレージョ
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クリスマスディスプレイ
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静かな街並み
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松とモクレンにも電飾
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紅葉しているプラタナス 

時間がない時に迷ってはいけないと、来た道を戻る。教会やショーウインドウのディスプレイ、道路上部や広場のクリスマス飾りを見ながら、駅へ向かう。つかの間観光ではあったが、ギマランイス城へ来て良かったと、タイル敷きの道を歩きながら思う。