照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

奈良・興福寺へ阿修羅像に会いに行く

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興福寺 南円堂

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奈良では先ず、興福寺・国宝館へ阿修羅像に会いに行く。憂いを含んだ優しい顔、すらりと伸びた華奢な手足、闘いの神というが、その表情からはむしろ祈りを感じる。見てきたばかりの、三十三間堂の阿修羅像ともだいぶ異なる。この像を彫る時、仏師はどのような気持ちであったのか、心に浮かんだモデルはいたのだろうかとか、さまざまな想いが湧きでてくる。

八部衆は、皆それぞれに表情が違って、眺めるほどに、阿修羅像へ抱いたのと同様の疑問が次々に広がってくる。沙伽羅の頭の上にはへびがいて、八部衆では龍に相当するというが、雨を降らせる魔力と幼児のようなあどけない表情とが結びつかない。被り物をつけた五部浄も、子供の顔を思わせる。鳥の顔をした迦楼羅は、肩にスカーフを巻いたおしゃれさんで、結構人気者だ。

八部衆ばかりか、国宝館では入ってすぐのところにある板彫12神将像も、顔や身体つき共にユーモラスな像が幾つかあって見逃せない。なかでも、波夷羅大将の鼻はユニークだ。

次に東金堂の方へ回ると、本尊の薬師如来像を中心にして、日光・月光菩薩像をはじめ、他の仏像などと一緒に、ここにも12神将像が配置されている。しかし、こちらは板彫とは違い迫力がある。両方を見比べるのも面白い。12神将は、干支にも対応しており、案内板にはそれも書いてある。

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興福寺 東金堂

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鹿せんべい売りと客引きの鹿

奈良公園の鹿たちも、せんべい売り場の回りに集まり、いかにも客引きをしているかのようだ。もちろん誰か買ってくれれば、その恩恵に与るのは鹿だ。せんべいが売れなければ、自分の口にも入らない。熱心なのも頷ける。中国からの観光客の方々にも、鹿と一緒の写真撮影は大人気だ。

小さな子供たちも大喜びで鹿にせんべいを食べさせているが、中には、親に促されるものの恐いのか、泣きながらせんべいを与えている子もいる。可哀想というより、何だか微笑ましくて可愛いらしい。もう少し経って写真を見れば、懐かしく思い出されるだろう。