宮崎ー飫肥(おび)へ
飫肥駅
飫肥駅で降りたのは、3人だった。ワンマンカーの電車は、バスのように整理券を取って車内で精算する方式だが、飫肥駅には駅員さんがいて、切符を手渡した。帰りの切符を購入して、時間を調べてから歩きだす。飫肥城址までは、15分くらいだ。風が冷たく寒いが、歩いていると暑くなってきて、コートを脱ぐ。
人がほとんどいない。九州の小京都と呼ばれる飫肥だが、平日に訪れる人は少ないのか、観光客も疎らだ。もっとも車だって、時折走っているくらいだ。昨年の秋、徳島の脇町を訪れた時のことが浮かんでくる。人通りもなくひっそりとしたうだつの町並みは、まるで映画のセットか何かのようであったが、飫肥も丁度そんな感じだ。
大手門
本町通りを右に折れてまっすぐ行くと、大手門の前に着く。武家屋敷を見学して回るのもいいが、私の興味は、城下町の雰囲気を感じることだ。静けさの中を、ただポクポク歩くのもいい。
本丸跡
大手門を入り、城跡への石段を登った先は杉林だけで、何にもないように思われるが、良い気が溢れている。私は、かつての夢の跡のような場所が好きなのかもしれない。
大手門前 おび天本舗はすぐ先の右側
おび天本舗で、名物の卵焼きとおび天盛り合わせと甘酒を頂く。卵焼きは、まさに固めのプリンという食感だ。思えば、前回もここで頂いた。揚げたてのおび天も美味しい。魚のすり身に豆腐も入っているため、そのふっくら感が独特で、日頃口にしているさつま揚げとはまた異なる。
ひと休み後は、1時2分の電車に乗るため、駅へ向かうことにする。短い滞在だが、次の電車が3時過ぎと間があくため、北風の吹く中、さすが後2時間は長すぎて待てない。
飫肥駅前
再び、ローカル線で南宮崎まで戻るのだが、まさに山幸彦海幸彦の神話の里を実感できる地形だ。空の青、海の青、ぽっかり浮かぶ白い雲、何とものどかな景色を眺め、私は案外乗り物好きかもしれないと思いながら、電車に揺られていた。
南宮崎で、宮崎方面行きに乗り換えを待つ間、とてつもなく風が冷たく寒い。出がけに置いてきたネックウォーマーがあればと、悔やまれる。季節を問わず、どこへ行くにもレッグウォーマーと共にネックウォーマーは必需品であると実感。仕方がないので、オードリー・ヘップバーンには程遠いが、スカーフを頭から被って風を避ける。