『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』を観て
『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』は、1作目同様なかなか楽しめた。ジュデイ・デンチは、本当に上手な女優さんだ。白髪でふくよかな体型がプラスになるような着こなしに、歳を重ねるって良いなと思わせる。殊に、オレンジ色が良く似合っている。
彼女ばかりか誰もが皆、着ている物の配色が素晴らしい。出演者のほとんどが高齢者という設定だが、皆さんおしゃれで、華やかな雰囲気が伝わってくる。リタイア後を、こんな風に過ごせたら素敵だ。
私はむしろ話の展開よりは、サリーを含めたファッション、殊に色の使い方に興味を持った。モノトーンの服が多い私だが、ここ数年、黒はどうにも顔映りが悪く感じられ、少し色味のある物へと関心が移りつつあった。その点からも、どのような色をどう組み合わせれば良いか、とても参考になる。
ストーリーは、若い二人の結婚に絡めて、人生が最終章に差し掛かった人々、それぞれの恋物語を差し挟むといった感じで、別にどうと言うこともなく、前作への付け足しの感さえある。
恋の顛末などよりも、私は、引退するまで家政婦として働き、他人と暮らすことなど考えもしなかったマギー・スミス演じるミセス・ドイリーに、かなりの共感を覚える。そして非常に地味ながら、この映画の要といった感じで、要所要所をピリッと引き締めている。
彼女がメイドさんへ向ける温かな眼差しさは、この映画全般で随所に感じられ、前作よりも、現地の人々との触れ合いがしばしば描かれる。ここ数年、旅行者にとっては悪いイメージが高まったインドだが、この映画を観ていると訪ねたくなってくる。
映画は、何時でもどんな風にも楽しめるが、殊に寒い雨の日は、ほのぼのとするストーリーが、自分をも暖めてくれる。真冬のような寒さという天気予報そのままの日であったが、雨の中を心弾ませて帰ってきた。