照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

勇気が湧いてくる本『ウーマンアローン』

自分に今ひとつパワー不足を感じ、一歩を踏み出せないでいる人にお勧めなのが、この『ウーマンアローン』(廣川まさき著・集英社)だ。最初のページを開いただけで、元気がみるみる充満すること間違いなしで、悶々としていたことも忘れ、すぐにでも行動したくなってくるだろう。

カヌー初心者が、しかもたったひとりでユーコン川を旅する、という出だしから圧倒される。恋してしまった人の暮らした村を目指すのだが、その相手というのが、100年も前にアラスカに暮らした明治元年生まれの日本人安田恭輔で、新田次郎の『アラスカ物語』のモデルになった人だ。

確かに、『アラスカ物語』を読めば、誰だってフランク安田の魅力にグイグイ引き込まれる。読んでからだいぶ経つが、(こんな凄い日本人いたんだ)と今なお印象深い。それが、『ウーマンアローン』を読み始めた途端、(こんな凄い女性いるんだ)が加わった。

第二回開高健ノンフィクション大賞に選ばれているが、当然という感じだ。私は、若い頃から開高健の本が大好きであったが、この賞についても、またこの本についても知らなかった。たまたま見つけ、つい最近kindle版で購入した。

急いで読むのがもったいなく、少し読んでは余韻を味わって、まるでカヌーで行くが如くゆっくり読み進めた。結末を急くよりも、本人から直接話を聞いているかのようなスピードで、私もその時々の思いに共感しながらじっくり進んでゆく。

"選択肢は、たった二つだけだった。
「川か、熊か、その二つともがリスクではないか。」熊に怯え、川の脅威に怯え、島の先端で立ち往生していた。
・・・・・
漕いで、漕いで、漕いで、漕いで、全身の筋肉が、肺が、心臓が、悲鳴をあげながらも、漕いで、漕いで、漕いで、漕いだ。
・・・・・
「生きるってこういうことなのか」
・・・・・
(第五章ビーバー村・デッドマンアイランドより)

行動する人の言葉はずしりと響き、人の心に力を呼び起こす。そして、何でもできそうな気になってくる。できることなら、もっともっと早くこの本に出会いたかった。でも、出会った時が、自分にとっては一番良いタイミング。いつだって遅すぎるということはない。

時は4月、新しいことを始めるにはいい時期だ。Good Luck!