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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

若冲は楽しい

絵画
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若冲展 (チケットより)

昨日4月22日、上野の東京都美術館で始まった「若冲展」へ行ってきた。開館時刻に合わせ9時半頃着いたのだが、物凄い人で驚いた。予想を上回る行列に怯むが、この先、日を追ってますます混むだろうと思い、並んで待つことにする。

入ってすぐ、襖に描かれたカラスのおとぼけな姿が何とも愛らしい。(鹿苑寺・大書院障壁画の芭蕉とカラスの図)糸瓜群虫図の虫たちに目を引かれ、同様に、他のさまざまな昆虫や魚、鳥に動物たちと、次々に見惚れる。

若冲の絵って、こんなに愉快だったんだという驚き。以前行った若冲展よりも、ユーモラスな感じが濃く漂っている。若冲はきっと、自分が描く対象物全てに、愛おしさを感じていたに違いない、と思えてくる。それほど、観る目が優しい。

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上段 釈迦三尊像 (パンフレットより)

三十六歌仙をはじめ、人物も皆ほのぼのとしていて、偉そうなところがまるでない。そこがとてもいい。釈迦三尊像にしても、威厳よりは親しみやすさを強調している感じだ。パンフレットの絵からは分かりづらいが、実物の前に立つと、ホワッと力が抜けて、「ねえ、お釈迦さま。ちょっと聞いてくれる」と、気軽に相談事を持ちかけたくなる雰囲気だ。

するとお釈迦さまばかりか、文殊菩薩普賢菩薩まで、「あいよ。聞いて欲しい亊っていうのは何だい」と、気軽に答えてくれそうだ。しかも合間に、台座の下に向かって、「こらこらお前たち、もう少し静かにしておくれ。今、お客さんだから」と、まるで母親が、幼子たちをたしなめるかのように声をかけそうだ。

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左上 虎  中央 群鶏図

そんな楽しい感じの作品たちに、かしこまった見方は似合わない。自分の中で、どんどん物語が膨らんでゆく。群鶏図だって以前は、凄いの一言だったけれど、今回は気持ちが楽しくなっているせいか、個々の鶏の表情を見ていると、それぞれの言葉が賑やかに聞こえてきそうだ。また、この可愛らしい虎になら、世間話の一つもしてみたくなる。

なんてことを考えながら見て回っていたが、実に見応えのある良い展覧会であった。多少なりとも若冲に興味があれば、ぜひ早めに観に行かれた方がいい。ちなみに、会期は5月24日までだ。