照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ヤマザキマリさんの『イタリア家族』はとてつもなく面白い

ヤマザキマリさんの『イタリア家族 風林火山』(ぶんか社コミックス・kindle版)が299円だったので、コーヒー1杯分ならと試しに買ってみた。デフォルメされているのだろうが、それにしてもよくこんな家族いるものだと、あまりの面白さにたちまち読み終えてしまった。

漫画を読むのはずいぶん久しぶりで、映画化された『テルマエロマエ』さえ知らなかったが、せめて映画だけでも観に行けばよかったかなと悔やまれる。ヤマザキマリさんのことは、ラジオに出られた時たまたま聞いていて知ったが、こんな凄まじい家族の中で暮らしていたとは全く驚きだ。

漫画が面白かったので、『ヤマザキマリリスボン日記』(フリースタイル)を図書館で見つけ早速借りてきた。これは、ブログを本にしたものということだ。読み始めたら、『モーレツイタリア家族』(講談社kindle版)も俄然読みたくなって探すと、432円と割引になっていたので即購入。

漫画をiPhone6sPlusで読むのは、大きくしたり小さくしたりと少々手が草臥れるが、面白さの前では何のそのだ。ちょっと一休みの時に少しづつ読むつもりが、ついつい後を引いてページを捲ってしまう。とりわけ姑の、息子可愛さからの行動力にはタジタジとなるが、それは家族として関わっていればこそ大変だが、読む方からすると笑いが止まらない。

風林火山の方でのエピソードだが、アドリア海にクルージングに出かけた息子家族と夫を追いかけて、姑がクロアチアへ行く友人の車に同乗して来てしまうというのも凄い。そのうえ、定員オーバーにもかかわらず友人夫妻共々そのヨットに乗りこんでしまう。洗濯物がはためく船上には優雅さの欠片もないと、ため息をつく嫁。

ヨットの上での、舅の釣りとその成果についての話も、あまりに可笑しく、読み終えてからだいぶ日が経っているにも関わらず、ふとした拍子に浮かんでくる。このように何度も楽しめて、まったくお得な買い物であった。

同じエピソードでも、とらえ方によってはだいぶ様子が変わってくるだろうなと思う。これはまさしく、ヤマザキマリさんの個性あって見えてくる世界だ。そうでなければ、ドロドロの嫁姑バトルというありふれた話になってしまう。

普通なら頭を抱え込みたくなる家族に、漫画のネタをもらっているとサラリと言ってのけるが、向き合う大変さは相当なものだと思う。だがそこには、憎しみや恨みは少しも感じられない。だから読む者としては、気楽にアハハと大口開けながら、次はどんなことが勃発するのだろうとワクワクしていられる。やってくる困難を笑いに変える逞しさは、ぜひとも身につけたい発想法だ。