照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

香り高い花にひっそりとした野菜の花ー目黒天空庭園にて

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ハマナスの花と実(右の丸い緑色)

目黒天空庭園に来てみたら、今月初めに咲き出したハマナスが、まだ咲いていた。嬉しくなって鼻を近づけてみると、以前ほど香りが強くはない。次から次へと嗅いでみるが、どれも今ひとつだ。ならば、クマンバチが潜り込んでいる花ならどうかと、蜂が去るのを待って鼻を近づけてみる。やはり一緒だ。

あのバラ科特有の甘酸っぱい香りは、花の最盛期だけなのだろうか。まだあちこちに花が見られるとはいえ、実も既にだいぶ大きくなっている。もう頑張って虫たちを惹きつける必要もないのかなと、花の役には立たずに、香りだけが目当ての人間にはやや寂しい思いだ。

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香り高い頃のスイカズラ 後方の網にテイカカズラ
網の向こうにクチナシ

ところでこの庭園には、スイカズラテイカカズラの陽よけの下に、丁度いい具合に椅子とテーブルがある。少し前までは、ここに座っていると、風が甘い香りを運んでくれた。直接嗅ぐとややむせるような強い香りだが、少し離れて風頼みくらいが鼻に心地よい。今は、すぐ後ろに植えられたクチナシが、その濃厚な香りを放っている。

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左がトマト  中央がジャガイモ

一方ささやかな菜園では、野菜たちが花をつけていた。黄色いトマトの花に白いジャガイモの花、決して華やかではないけれど、素朴な美しさがある。野菜の花って、家庭菜園で人気のあるトマトやナス、ピーマン以外は見る機会が少ないけれど、どれもなかなか可憐だ。オクラなどはアオイ科なので、立葵の花にも似てとてもきれいだ。

テルハ美術大学の実技と称して、毎日スケッチを自分に課しているのだが、そのおかげで、以前より草花を細やかに観察するようになった。小学生の頃の理科に始まり、生物にはまったく興味がなかったのだが、もっと観察好きだと良かったのにと、今にして思う。

好きなのは花ぐらいであったが、それとても、花の色や形、香りにのみ関心が向いていて、葉の存在は気にも留めなかった。それが以前、カルチャーラジオというNHK第2放送の番組で植物の話を聞いてから、俄然興味が湧いた。次いでその時の講師の方の書かれた『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』(田中修・幻冬社新書・kindle版)も読み、ますます面白くなった。

興味を持った時が習いどきというのも一理あるが、この楽しみをもっと早く知ってもよかった気がする。それにしても、学校の授業となると、なぜ何でもつまらなくなってしまうのだろうか。もっと、子どもの興味を掻き立てるようにはできないものか。それとも、私が単にぼんやりだったのか。それは謎のままにしておこう。