照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ハッとするほどカッコいいオシャレさんに遭遇

先日オシャレについて書いた日、もの凄いオシャレさんを見かけた。

私の横を抜けて、颯爽と歩いてゆく人の後ろ姿にハッとした。プラチナブロンドに染めた短い髪を、マリンブルー地に赤と白が配されたスカーフで、後ろからヘアバンドのように巻き、前で結わえている。耳には、小さめの黒い輪っかのイヤリング。(多分)

やや短め丈のパンツの裾がゴムと気づき、アレっこの形はとウエストに目を向ければ、そこもゴムであった。柔らか素材の白いシャツブラウスの裾を、パンツに入れているので形がよくわかる。腰の部分の膨らみといい、まったくスエットパンツそのものに見える。

今、よく見かけるように、上衣の裾を前だけ中に入れ、横と後ろを外に流すスタイルなら、スエットパンツ感も緩和されるのだが、彼女の場合は違う。敢えてパンツの形を強調しているのかもしれない。だがそれは、少しも変ではなく、むしろカッコいい。素材はと遠目に観察すれば、綿かウールにポリエステル混紡(私の推測)のようだ。ちなみに色は濃紺。サルエルパンツなのかもしれない。

私はカッコ良さの秘密を探ろうと、スッスッと歩く彼女を追いかけて小走りになる。仕事に向かう途上なのか、彼女の歩き方はかなり速い。駅に着くまでの間、いかにも遅刻しそうで焦ってますとばかりに歩く私に比べ、上背もある彼女は歩幅も広いのか、急いでいるといった風も見せずに、これまたカッコ良く歩く。

肩には、大ぶりの木綿のトートバックを掛けている。どんなデザインかまでは分からないが、横からは、赤と黒がちらちら見える。靴は、黒のガッチリとした、いわゆるオジサン靴だ。パンツの裾と靴の間からのぞいている靴下は、太い横縞で、黒と透けているような肌色だ。この靴下が、何ともオシャレっぽい。

この靴下と靴で、スエット風パンツを、グンと引き締めているのかなと、オシャレ探偵になったつもりの私は思う。それと、やはりあのヘアースタイルだ。上下でガッチリ押さえているからこそ、カッコ良さが漂っている。

大半の人は、いかにもスエットでございとなる形なのに、着る人によってこうも違うのだと、すっかり感心してしまった。きっと彼女には、スタイルがあるのだなと思う。そして彼女なら、どんなものでもカッコ良く着こなしてしまうに違いない。

駅への階段を降りてゆく彼女を見送りながら、ついこちらも、これから目指すのはカッコ良いオシャレだと気持ちが高揚してしまった。