人の白目はなぜはっきりしているの?
毎日欠かさずスケッチを続けているのだが、この頃は植物の他に、女優さんや、動物を題材にすることもある。描くたびに、人は黒目と白目がはっきりしているのに、猫をはじめ動物は、ほぼ一様に黒目ばかりのように見えるのはなぜだろうと思っていた。
ところが先日、山際壽一さんの話(NHK第一ラジオ・6/11朝6時・文化講演会)を聞いていて、なぜ人間は白目の部分が大きいのかがよく理解できた。ちなみに山際さんは、現在京都大学総長で、長年ゴリラの研究をされてきた方だ。
霊長類で、白目があるのは人間だけの特徴で、ゴリラやチンパンジーにはないそうだ。これは、目の動きを見て相手がどう感じているかを読み取る、つまりコミュニュケーションのためという。いつできあがった機能かは分からないが、言葉ができるより前と考えられるているそうだ。
霊長類に限らず動物は、白目がはっきりしていると、目印になって敵に狙われやすく、むしろ弱点になるようだ。そうすると人も、森に住んでいた頃、類人猿から別れる前は、黒目ばかりだったのだろうか。白目がはっきりしていない人間って、今からは到底想像もつかないが、ちょっと不気味ですらある。
ゴリラの観察を通して人間について研究されている山際壽一さんの話は非常にわかりやすく、面白かった。殊に、ゴリラと人間の赤ちゃんを比較しながらの説明には、ぐいぐい引き込まれた。
例えば、
"ゴリラの赤ちゃんの脳は、4年で大人と同じになるが、人間の赤ちゃんの脳は、三段階を経て12歳頃に大人の大きさになる。それまでは、脳へのエネルギーが必要なため、身体は小さい。脳が発達し終えると、身体が急速に発達する。それが心身の成長のバランスを欠くことになる。"
には、なるほどと思うことばかりであった。
それにしても、人間ばかりか動物も植物も、地球上の生命あるもの全ては、長い年月をかけて、工夫を重ねに重ねて今に至るのだなと改めて感慨深い。