読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

アイルランドへの興味が高まる本

『異界へのまなざしー アイルランド文学入門』(山田久美子著・鷹書房弓プレス・2005年)は、文学に関心ある人のみならず、多少なりともアイルランドに関心がある人にとって、非常に解りやすく読み応えのある本だ。

おこがましい言い方だが、通常、研究者の本は、かなり読みにくい。だがこの本は、言い回しの硬さもなく、惹きつけられるようにどんどんページが進んでゆく。どうしてこんなに面白いのだろうと思っていたが、あとがきを読み、大学の講義内容が土台にあると知り納得した。アイルランド全体への興味が、2倍にも3倍にも膨れあがるこんな授業、私だって受けたい。

図書館でたまたま目に付いたこの本をパラパラ捲っていたら、串田和美緒形拳(2003年)が演じた『ゴドーを待ちながら』のポスター(写真)が載っていた。(P・143)(うわっ、懐かしい)と思って、ここだけでも読もうと借りてきた。

私はこの芝居を、2000年の初演で見ている。その時の、緒形拳さんの飄々としてあっさりとした演技に、凄い役者さんだなと、ただ唸っていた。実は、串田和美さん演出、出演というところにひかれて観に行ったのだが、他の3人の皆さん(大森博、田中哲司、ハッピー)も合わせて、とても素晴らしい舞台であった。

自分の観た舞台を思い出しつつ第13章を読むと、あまりの読み易さに、それではと第1章へ戻った。そして第2章ケルトの国へと読み進むにつれ、面白さが増して止まらなくなった。ジョン・ミリントン・シングについては、長いこと気になっていたものの、未だ作品は手にしたことがなかった。でも先に、この本で、シングの文学的背景を知って良かった。

人には、何によらず出会うべきタイミングというものがあるのかもしれない。きっとその時期が来て、書架からこの本が私に合図を送ってくれたに違いない。ずっと気になっていたシングの、『海に騎りゆく者たち』から読んでみよう。

この本を読んでいると、アイルランドへすぐにでも飛んで行きたくなる。ダブリンしか知らないが、本当に良いところだ。そして、読む者すべてを、アイルランドファンにしてくれそうな本だ。