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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

雨の日も心の持ちようで楽しくなる

昨日の朝はやや強い降りだったので、散歩する代わりに、電車に乗って出かけてきた。通勤ラッシュをやや外したものの、車内にも通りにも人が溢れている。人波に連なり少し歩いてから、コーヒータイムだ。

通りから一階分ほど下がった場所にあるカフェの、大きな窓に面した席から外を眺めていた。そこは地下一階にあたるのだが、出入りする側は、丁度、円形劇場の舞台のような感じの広場に面しているので、地下という雰囲気は無い。

目の前の窓の横には丈高い欅がある。階段を上がった歩道際と、大通りを挟んだ向こう側には、更に大きな欅があって、豊かに葉を繁らせている。確かセザンヌの初期の絵に、このように緑色が印象深い絵があったなと思う。林の中に光が差し込んで、風のそよぎが聞こえてくるような絵であった。

ここでは、光や風の代わりに、緑の中を、傘を差した人々が途切れることなく行き交う。職場に向かうのか、用事なのか、誰もが、すべき事を抱えてせっせと歩いてゆく。これはこれで結構絵になりそうだと、傍観者として眺めている分には、雨の日を楽しむ余裕さえ出てくる。

実際、歌川広重葛飾北斎をはじめ、浮世絵にも雨の絵は多い。ゴッホだって、広重の雨の絵を模写している。それにしても、雨の風景、これは絵になると思って筆をとったのだろうか。江戸時代までひとっ走り行って、ちょっと聞いてみたい気もする。

降っても、晴れても、自分の都合で天気にダメ出しするわけにもいかないので、その日の空模様に従うしかない。だからびしょ濡れの不快さを思ってユウウツと暗い顔をするよりは、自分の心を引き立てるような楽しいことを考えた方がずっといい。何となくそんなことを思った雨の日であった。