照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

出身県の代表を一名選ぶとしたら誰にする?ー『パリわずらい 江戸わずらい』

浅田次郎さんの『パリわずらい 江戸わずらい』(小学館・2014年)を読んでいて、「続・消えた二千円札」(P・95)という話に笑ってしまった。

"二千円札が消えてしまったのは、やはり肖像画がないからありがたみに欠けるのだ。だったらこの際、各都道府県の偉人を描いた四十七種の自治体二千円札を発行する、というのはいかがであろう。"(P・96)

と、地方での講演終了後、主催者が設けてくれた宴席でアイディアを披露したところ、座はたちまち、"全国二千円札肖像画予想会議"と化し、大いに盛り上がったという。

各県に相応しい人物を、皆でケンケンガクガク選出してゆくのだが、この人物をおいて他にないと皆の一致をみる県もあれば、ああだこうだと好みがぶつかる激戦区まで、その過程が楽しい。

とりわけ可笑しかったのは、

"二者択一で苦悩するのは岩手県。「宮沢賢治」か「石川啄木」か、県論まっぷたつというところであろう。・・・県民投票の結果「小沢一郎」が当選したらどうしよう。"(P・99)

他にも、

"「卑弥呼」をめぐって、奈良県と福岡県はモメるにちがいない。"(P・99)と悩んだ挙句、「無法松」までご登場願う。

が、

"しかし、無法松には肖像がないので、モデルを阪東妻三郎にするか三船敏郎にするかで、さぞ紛糾することであろう。"(P・99)と、その可笑しさはとどまるところを知らない。

実際、各県代表を選ぶとなって"県民投票"でも実施したら、いったいどのような結果となるだろうか。自分の出身県の偉人と言われても、世代によってだいぶ異なるのではないだろうか。その前に、自分の県の偉人を知らない人もいるだろう。

以前会社で、海外旅行のお土産のお菓子が配られた際、日本を代表するお菓子は何かに話が及んだ。すると、プリンをあげる若い人がいて少しびっくりした。単に自分が好きなだけだったのか、それともお菓子の種類を知らないからなのか、私の想像を超えていた。

だからきっと、各都道府県代表の偉人を選ぶとなったら、同様の事が起こるにちがいない。東京なんてまったく大混乱に陥って、一度多数決で決まっても、再度やり直しを求める声が上がって、挙げ句の果ては選出不能になるかもしれない。

人でもお菓子でも、はたまたロゴマークでも、皆で選ぶってまったく難しい。それにお金もかかる。だいたい都知事選に50億って、何?って感じだ。短期間にコロコロ変わっていたのでは、シャレにもならない。偉人選びから逸れて怒りモードになってきたので、この辺でお終い。

オッとその前に気になる問題が。卑弥呼か無法松かで福岡県が紛糾している間に、どちらも肖像画が無いのをいいことに、あの方がこっそり自分の似顔絵を置いちゃったらどうしよう。似顔絵は、饅頭の上だけにしておいてもらいたいものだ。