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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

ミニトマトを突ついて食べるカラスから広がる連想

玄関前の狭いスペースを利用して、トマトやピーマンなどをプランターで栽培しているお宅がある。駅からの帰り道、そのお宅の前にカラスがスッーと舞い降りるのが見えた。

近づくと、カラスは2羽だった。何をしているのだろうと思いながら通り過ぎると、道路にオレンジ色の小さな丸いボール状の物が転がりでた。振り返えると、それをカラスが口に加えた。ミニトマトであった。

カラスが、嘴で突ついて実を落としてから食べるのは、初めて目にした。それに、トマトのような酸味がある物を食べるということも驚きであった。但し、最後まで見届けなかったので、ちゃんと食べたかどうかはわからない。もしかすると、単に甘い果物か何かと間違えたのだろうか。それとも、甘い種類のミニトマトなのか。

少し調べてみると、カラスによる農作物の被害は、トマトばかりか、トウモロコシやナスにキュウリなどもあるようだ。トウモロコシはともかく、ナスやキュウリというのは驚きだ。甘いスイカなどは、食べ頃かと見に行くと、野生の動物に先回りされてしまうとはよく聞くが、野菜全般、熟した頃を見計らって、地上からも空からも狙われるのでは、作り手はまったく気が抜けない。

高価な果物の場合は、そこに人間が加わる。収穫時期になると、サクランボやメロンの被害は、しばしばニュースになったりしたものだ。こうしてみると、生産者は本当に大変だ。

一方消費者は、スーパーで何でも揃うので、そんな苦労も知らず呑気なものだ。そういえば以前、会社でのランチタイムに、誰ひとり(いただきます)を言わずに箸を取るのを目にして、それもずっと驚きであった。たとえ自分だけでも、食べる前には、やはり声を出して(いただきます)とあいさつしたい。

食べる物がいつだって手に入ると思っているのは、傲慢かもしれない。飛躍し過ぎのようだけど、カラスがミニトマトを食べる様子に、この国の食料自給率から何から、さまざまなことが次々と浮かんできた。

そして今、生産を含めた食の全てに対し、なんと無関心であったかと愚かな自分を反省している。食べることは大事だが、それが手元にくるまでの過程を、もっと真剣に考える必要がある。