ママの腕の中にいる時の赤ちゃんは幸福感にあふれている
眠っている赤ちゃんを見ていると、時々笑っている。これは新生児微笑といって、生まれてから2ヶ月くらいまでの赤ちゃんに見られる本能的な行動だそうだ。とはいえ、まるで楽しい夢をみているかのようで、ついこちらの頬も緩む。
腕に抱かれている時も、大人たちの話に合わせたかのようにタイミング良く微笑むので、話を聞いているのかなと一瞬錯覚するほど。まったく「いとうつくし」だ。
逆に、例えばお腹が空いて、ミルクの用意ができるのを待つ間、ギャンギャン泣かれた時は、抱っこしているこちらも切ない。それでも、「もうちょっとだから待っててね」と話しかけると、心なしか、余計声を張り上げる気さえして、切ないながらもなぜか可笑しみが湧く。
泣く時は、手足も駆使して全身で訴える。その準備段階が、まず両手を交互にパンチするように突き出し、両足はキックのように蹴り出す。この力がなかなか強い。準備運動が整うと、大泣きが始まる。途中くたびれて、一休みするかのように声が小さくなるが、ほんの一瞬だ。更に大声を出すために、一息ついたのだろう。
ミルクが到着すると、目を閉じてゴクゴクと飲み始める。お腹が空いたのと眠いのが両方だったのかなと、満足そうに口を動かす様子に、こちらもホッとする。
それが、誰かがベランダへのドアを開けて、セミの声が聞こえようものなら、パチっと両目を開けて、何だろうというように耳を澄ます。ミルクを飲みながらも半分眠っていたとばかり思っていたのに、その素早い反応に笑しくなる。「おぬし、役者やのう」という感じだ。
そのように七変化を見せてくれる赤ちゃんだが、ママの腕の中にいる時、とりわけ幸福感に包まれた穏やかな顔をしている。まさに聖母子像の如くで、いいなぁと思う。