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照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

「スガシカオ」を「透かし顔」と勘違いしたマヌケな話

スガシカオの柔らかなカオス」(『意味がなければスイングはない』・村上春樹著・文藝春秋・2005年・P・193~216)を読んで思い出したことがある。といっても、文章とは何の関係もない末節もいいところだ。

日本のJポップを日常的にあまり聴かない著書が、スガシカオを気に入ってCDを仕事場に置いていたら、アシスタント女の子がその名前を知っていた。

"「へえ、スガシカオ知ってるんだ?」と言ったら、「なにを言ってるんですか。スガシカオ知らない人って、世間にまずいませんよ。有名なんですから」と言われた。ためしに他のアシスタントに尋ねてみたら、みんな「スガシカオ?知ってますよ。当たり前でしょ。ファンです」という意見だった。(P・213)

"世間の知名度はそんなに高くないけれど、僕は個人的にけっこう好きだな・・・"と思っていたので驚いたというくだりに、私がスガシカオの名を知ったおバカな経緯を思い出した。

取引先の方と電話で話した後、「須賀」と書いて「スカ」と読むのは珍しいと思った私が、前の席の同僚40代にそれを話した。すると別の同僚30代に、「スガシカオって、スガ?それともスカ?どっちだっけ」と聞いた。

苗字の読み方と「透かし顔」って、何の関係があるのだろうと思ったが、「透かし顔」は濁らずに「スカシガオ」でいいのよと、私は何でも知ってます風を吹かせた。すると今度は同僚が、「エッ?」と困惑気味な表情を浮かべたが、そのまま二人で「スガシカオ」について考えていた。

そして、「スガシカオ」は「スガ」というところに落ち着いてから、それはシンガーソングライターの名前だと教えてくれた。SMAPの「夜空ノムコウ」って曲作った人だという。私も日本の曲は、まったく聴かないので、「スガシカオ」もSMAPの曲も知らなかった。テレビは見ないし、ラジオは専らFEN(現在はAFN)であった。

"スガシカオ知らない人って、世間にまずいませんよ。有名なんですから"という断定的な口調に反旗を翻すようで申し訳ないが、ここにも一人いる。それも、2、3年くらい前の話だ。でも、(私らのいう世間には、お宅含まれていませんから)と、世代の違いを強調されそうなのでこっそりつぶやく。

そういえば、麺で有名な須賀川(福島県)は、スカガワと濁らないのを思い出した。エッセイストの須賀敦子さんはスガと濁り、関西のご出身だ。他にも例はあるが、土地により、同じ漢字でも読み方が違うのはどうしてなのだろう。ちなみに、スガシカオさんは菅止戈男と書くそうで、須賀ではなかった。(「夜空ノムコウ」いい曲です)

ところで、『意味がなければスイングはない』は、村上春樹的音楽論に満ちていて面白い。さまざまな分野の曲を、よくぞここまで聴き込んだものと感心しきりで、ここに取り上げられた曲を、ひとつ残らず聴きたくなってくる。私は、この方の人と音楽に関する洞察力に感服だ。