照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

東萩から時々日本海を眺めながらローカル線で益田へーいざ原田直次郎展なり

二日目は、東萩から益田まで約1時間15分ローカル線の旅だ。時々現れる日本海に慌ててスマホを取り出すも、なかなかタイミングが難しい。

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益田駅から徒歩15分弱でグラントワ(島根県芸術文化センター)に到着、原田直次郎展へ。ちょっと思惑が外れたのは、『騎龍観音』と『靴屋の親爺』が参考図版ということだ。巡回先でもすべて同じ作品が展示されるものと勘違いしていたばかりに、非常に悔やまれる。

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実を言うと、埼玉県立美術館での展示が終了してから、『靴屋の親父』を知って原田直次郎に興味を持ったのだ。だから、これだけ見られれば十分な思いであった。むしろ『騎龍観音』は、好みの図柄ではないので、別にいいかぐらいに思っていた。

しかし、本物ではないにも関わらず絵の前に立つと、澄むような感じを受ける。観音様は、全身に凛とした気配を漂わせて龍の背に立っておられる。龍の眼が何とも柔和で優しいのに比べ、観音様の眼差しには厳しさえ感じられる。この周りとは異なる空気感の中にいると、自分が透明になってゆくような思いすらある。
観る前にあれこれ考えていたことなど、いきなり吹っ飛んでしまった。

『靴屋の親爺』は、これも本物ではないながら、絵として好きだ。似たような絵も幾つかあったが、やはり肉屋の親爺さんの迫力にはかなわない。

こんな画家いたんだと、まったく驚く。年表によると、父親も兄も留学しているので、直次郎も留学するのは当たり前の雰囲気だったのかなと思うが、明治時代に何ともすごい家族だ。ただ、画家として生きた時代が、洋画排斥の時期に重なったという巡り合わせの悪さを感じる。でも、やっぱり凄い画家だ。36才で亡くなったのは惜しい。

美術館から通りへ出ると、うまい具合に益田駅行きのバスが来たので乗車。駅に着いたら雨がポツリポツリと降ってきた。まったく良いタイミングに、私は晴れ女だなと少し鼻を高くする。

これまでのところ、台風12号がらみの雨で傘を必要とすることもない。私の都合に合わせてくれるかのように、電車に乗っている時や建物の中にいる時だけ雨が降ってくれる。

この後は、再びローカル線で津和野だ。私は、このような、各駅停車ののんびり旅が好きだ。山陰本線に乗って日本海を眺めることも出来たし、今度は山間だ。気持ちが弾む。