照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

自分のトゲが不要のストレスを呼び込むこともあると考えさせられた出来事

先日高速バスに乗車した折、出発時刻となり運転手さんが発車しようとドアを閉じた。だが、バスの後の方から慌て気味にやって来る人が見えたようで、運転手さんはすぐにドアを開けてあげた。

荷物と一緒に乗り込んできたその女性は、「もう出ちゃったのかと思いましたよ。時間前なのに早く出るんですか」と不服そうだ。

すると運転手さんが、「もう出発時刻過ぎてますよ」と、目の前の時計を指し示した。その人は、「まだ過ぎてません」と引かない。一番前の席にいた私はその声に、自分のスマホで時間を確認してみたが、バスの時計は正解であった。

それは45分発のバスであったが、納得いかないのかその人は入り口に立ったまま、「まだ46分になってません」と更に重ねる。一方運転手さんも、「普通45分発といったら、45分に出発しますよ」と言う。それを聞いた女性は、「それなら最初からそう言えばいいじゃない」と、捨てゼリフを残しようやく奥の方へ進んでいった。

私も内心で、こんな屁理屈みたいなことを言う人がいることに驚かされた。だいたい、自分の時計が遅れていたことがそもそもの原因にも関わらず、待っていてくれたことには一言もなく、いちゃもんのようなことを言うことにただびっくりだ。大概はこのような場合、ありがとうございますとホッとした声で礼を言う人が多い。

ところで、この女性のプリプリした感じから察するに、このやり取りはストレスになったと思われる。しかしどうみても、不要なストレスを自ら作り出したとしか思えない。ストレスの多くはこのように、自分の勘違いや思い込みを棚に上げて正当性を主張するため、相手との行き違いが生じて引き起こされるのではないだろうか。

そんな無駄なエネルギーで心を煩わすのは、まったくもってバカらしい。上記の例でいえば、(間に合って良かった。待っていてもらえてラッキー!)と思った方が、幸せ度も増す。それに運転手さんだって、待っていてあげて良かったと、幸せな気分でハンドルを握れるだろう。逆に、負の連鎖が多少心配であったが、それは杞憂で済んだ。

場合にもよるが物事は、考え方次第で、プラスにもマイナスにもなる。良い面を意識することで、だいぶストレスの軽減ができるはずだ。自分は悪い面ばかりに目を向けがちと思ったら、考え方を切り替える練習をしてみるといい。

トゲを一杯突き出してわざわざストレスを呼び込むような、栗のイガ状態からは脱却した方がいいと、強く考えさせられた出来事であった。