照る葉の森から

旅や日常での出会いを、スケッチするように綴ります。それは絵であり人であり、etc・・・。その時々で心に残った事を、私の一枚として切り取ります。

舞へ舞へ蝸牛ー平安時代の童歌

NHK第二の高校講座・国語総合の畠山俊(たかし)先生の講座は、説明が分かりやすく、かつ面白い。だいぶ前、「児のそら寝」(『宇治拾遺物語』)を偶然耳にして以来、たまにこの講座を聞くことがあった。一昨日の晩も、久しぶりに聞いてみようとラジオをつけたら、平安時代の童歌を取り上げていた。

舞へ舞へ蝸牛 舞はぬものならば
馬の子や牛の子に蹴ゑさせてん 踏破せてん
まことに美しく舞うたらば 華の園まで遊ばせん
(『梁塵秘抄』より)

本文を朗読するのは別の方だが、解説に当たって、ご自分でも抑揚をつけて読まれる。その読み方が印象的で、放送終了後も何度も思い出すほどだ。この講座で学習している人なら、自然と復習にもなるだろう。

"自分が子どもなので、馬の子や牛の子と言っているのでしょう"との説明に、単に馬とか牛というよりは、確かに語感から可愛らしさが立ち昇る。そして、平安時代の子どもたちが、カタツブリ(かたつむり)を眺めながら、動きだすのを待ち構えている様子が浮かんできて、楽しい心持ちになってくる。

かたつむりにとって馬の子や牛の子は、さぞ巨大に思えただろう。そんな恐ろしいものに踏みつぶされては大変と、さっさと動き始めたかもしれない。花の沢山咲いている庭に連れて行ってもらいたいと、思ったかどうだか知る由もないが、でも、子どもたちに見つかっちゃて、厄介だなくらいは思ったに違いない。

一方で子どもたちは、自然の中に、おもちゃとなるものを探して楽しんでいたのだろうと、その世界を推測しながら、こちらもほっこりしてくる。

「児の空ね」もそうだが、子どもの情景描写は楽しい。ついでに、古い時代の書物にもっと親しんでみたい思いも広がる。

それにしても、手引き者によっては、古文がこれほど親しく感じられるのだなと改めて思った。そして、今更ながらではあるが、かつて習った頃には、興味も何も感じなかったことが惜しまれる。